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あらし シェイクスピア 感想とレビュー 

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私が読んでいるのは新潮文庫版ですので、夏の夜の夢はあらしと共に収録されています。
あらし、今度は場所変わり無人島。十数年前、弟の策略により失脚したミラノ公、プロスペローは海に流され、まだ乳飲み子だった娘ミランダと共に無人島に漂流します。
プロスペローはこの無人島で十数年修行をし、森羅万象を操る強力な魔力を手に入れます。そして空気中に住む妖精エーリアルをはじめとする様々な妖精をも手名づけます。
ある日、かつての自分を策略で陥れた弟アントーニオと共謀を計ったナポリ王アロンゾー、その弟セバスチャンが乗った舟が近海を通ります。ここぞと待ち呆けたプロスペロー、復讐をすべく妖精たちを巧みに操り船を難破(実は舟は無事で隠しておく)、王や弟を海に放り投げ無人島へ誘います。
様々な魔法によってちりちりばらばらにした王や、弟を苦しめるプロスペロー。しかしその復讐は和解への復讐。決して命は取らずに上手いことばらばらになったものたちを自分のいる岩場へと誘います。
そんななか娘ミランダは、ナポリ王の息子ファーディナンドと恋に落ちます。プロスペローは試練を貸しその愛を真と見極め、二人の婚約を認めます。
最後には全員が集まり、いよいよプロスペローとの和解となるわけです。

この作品、シェイクスピアの最後の作品となるわけで、やはり最高傑作との評価が未だ止みません。
私自身、100ページほどの短編にもかかわらず、これだけ深い作品であることに感銘を受けました。この作品喜劇、浪漫劇、あるいは夢幻劇といわれるものですが、確かに珍しい。結局和解をしたとしても弟のアントーニオやセバスチャン、キャリバンという怪物の心は改心してません。最後まで毒付いています。
劇の最後ではプロスペローが一人出てきて、このときには魔力を自ら失った後の生身の人間としてですが、生身の人間として観客に対し自分への魔法を解いてほしいと願います。つまり私たち観客がプロスペロー含めこの作品を作りなしていた魔法をかけていたというのです。
魔法という超自然を描きながらも、やはり人間界のごたごたに対応していくプロスペロー。あふれ出すヒューマニティーへの鋭い視点。しかし、どんなに魔力を身に付けても、改心させることのできないものもいた。ここに著者自身、シャイクスピアが最後に何を見て、何を伝えたかったのか、その真髄が隠されていると感じるわけです。
これまで、「ヴェニスの商人」「マクベス」「ハムレット」「ロミオとジュリエット」「ジュリアスシーザー」「オセロー」「お気に召すまま」「リア王」等々様々なシェイクスピア作品を読んできました。その最後としてこのあらしを読むとなんとも形容しがたい感慨があります。
かつての日本の歌集、例えば新古今和歌集は歌をもって季節を表しました。そしてその歌を集めることによって、つまり歌集全体で一年の流れをも作り出しました。
シェイクスピアの作品も同じで、喜劇があり、悲劇があり、そして最後にまた喜劇に戻るというおおきな流れ、つまり作品全てを通して得られる全体の流れがあるのです。つまりこれが人生なのだとも感じます。壮大でした。

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