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佐々木俊尚『ブログ論壇の誕生』(文藝春秋、2008) 感想とレビュー

昨日、わずかではあったが【ニコ生視聴中】佐々木俊尚×モーリー「戦後70年と、これからの“優しいリアリズム”」を視聴。以前から佐々木俊尚の名前は知っていたが、どんな人なのか、初めてみることとなった。とても知性的で、すごくいい印象だったので、自室にあった佐々木俊尚の本を手に取って読んでみることにした。
五段階中、評価は4.良質な本だったと感じた。
さすがはネットにつよいジャーナリストだなという感じ。付録として佐々木氏がおすすめするブログ論壇がまとめられているのがおもしろかった。

もともと討論や議論というのは、この本によれば、17世紀から18世紀にかけての西ヨーロッパ市民社会にさかのぼることができるそうだ。「イギリスのコーヒーハウスやフランスのカフェ、サロンで行われていた討論が、公論の場を生み出し、世論形成の場になった」のだという。
もちろん当時から、そうした議論をすることができたのは知的階級であろうから、それなりの階層の人間である。17,18世紀の服を着て、カフェやサロンで西洋人の男性たちが議論を戦わせていたのかと思うと、それなりに興奮してくる情景である。

そこでは次のような前提があったようだ。
①討論への参加者がどのような社会的地位を持っているのかは、度外視されていたこと。
②それまでの教会や国家によって当然のことだとされていた問題も、タブーなしに自由に討議すること。
③誰もが自由に、討論に参加できること。
こうした土壌があったからこそ、西洋社会は発展していったのだと言える。

しかし、日本では議論を戦わせるよりも、場をわきまえ、おかみの言うことに従うということをよしとする文化体系であったために、議論をあつく戦わせるというような文化は生まれにくかった。それが、現在においても日本人の討論があまり水準として高くないことの原因にもなっているだろう。
しかし、そんななかで、現れたのがこのブログ論壇ということなのである。それまで発言権を持てなかった一般市民がその声を発言できる場が提供されたことにより、玉石混交ある中ではあるが、その玉の部分が相対的に多くなり、ネットの世界に現れて来たというのである。

本書は、ネットに詳しい佐々木俊尚氏が、2000年中盤に話題となったネットでのそれぞれの事例について紹介し、それに対してネット論壇がどのように反応したのかということを、いくつかの例にわけて紹介している。
紹介されたのは以下の通り。
1、毎日新聞低俗生地事件
2、あらたにす
3、Wikipedia
4、チベット問題で激突するウヨとサヨ
5、「小沢の走狗」となったニコニコ動画
6、志位和夫の国会質問
7、安倍の窮地に暗躍した広告ロボット
8、辛抱を説く団塊への猛反発
9、トリアージ
10、承認という問題
11、ケータイが生み出す新たなネット論壇世界
12、『JJ』モデルブログ
13、光市「1・5人」発言
14、青少年ネット規制法
15、「ブログ限界論」を超えて

いずれもおもしろい問題であった。
例えば6の志位和夫の問題では、志位和夫の国会答弁が、非常に論理的であり、検証を重ねた結果出たものだったとして、その親和性からブログ論壇で取り上げられ、ニコニコ動画などでも取りざたされ話題になった問題。1時間もある国会答弁にそれまで多くの人間は見向きもしなかったわけであるが、ネットの普及によって、ニコニコ動画などでコメントをかきながら参加するというような手段を通じて、それがひろまっていったというのが21世紀の政治へのかかわり方なのである。ここでは、より詳しく学びたければブログ論壇を覗けばいいということもあり、そうした政治への関心というものが少なからずよい方向に向かっているということが考えられる。

佐々木の分析によれば、ブログ論壇を形成しているのは、その多くは70年代生まれのロストジェネレーションと言われる世代だという。彼等は団塊世代への不満を持ちながら、条件のよくない仕事をせずにはいられず、そのうっぷんをネットでこぼしているのである。
団塊世代はネットを覗かないので、ネットで当たり前のこととなっているようなことに気が付かない。8では辛抱が必要だというような団塊の世代に対して、ブログ論壇を含め、大きな反発があった。しかし、団塊の世代はネットでそんな反発があるのを知らないので、いつまでたっても二つの溝はなかなか埋まらないのが問題である。

私自身も、そうしたブログ論壇を目指してブログを運営してきた経緯がある。
この本では佐々木俊尚氏が参照するブログ論壇が300ほど付録として最後についている。いずれはそういう場所で紹介されるくらいのブログになりたいものである。
そのためにもより勉強して、もっとブラッシュアップしたものをアップできるようにしなければならないし、また、どのようにかして話題となるようにならなければならない。
目指すは一日に専任単位の人がおとずれてくれるブログではあるが、いまのところは、毎日300人程度の中堅のブログとしてなんとかほそぼそとやっている。閲覧数が増えれば、それだけつっかかってくる人も増えることだし、面倒なことは増えそうである。
だが目標とするのは、編集者なりの目にとまり、書籍化することだ。


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