スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ダン カイリー (著), 小此木 啓吾 (翻訳)『 ピーター・パンシンドローム―なぜ、彼らは大人になれないのか』 (祥伝社、1984) 感想とレビュー

51Chf4.jpg


ピーターパン・シンドロームとは、この本の著者であるダン・カイリー博士が考案した、シンドローム、ひとつの症状である。
この本がかかれたのは、1980年代前半。アメリカでは、このような本をカイリー博士がかかなければならないほど、ピーターパンシンドロームの人間が話題となっていたのであろう。ちょうど十年ほど前に、我が国でもひきこもりなどが問題となったような感じなのではないだろうか。
この本を読むとさまざま、おもしろいことに気が付かされる。アメリカにはひきこもりはいないのだろうか。よくある典型的なネットでゲームをやっているゲーマーというのは、日本人よりもアメリカ人のイメージが強いが、そうした典型的な存在と言うのは、アメリカに多数存在するのであろうか。
先日香山リカと五木寛之氏の対談本である『鬱の力』という本を読んだ。五木寛之は鬱というものを、病気のうつとは切り離して、今現在日本はうつの時代であるというようなことを述べている。私もこの意見には賛成なのであるが、たとえばその本のなかでは、日本でも地域によって人間性が違う、どこどこの地方の人間は「これくってけ、こんなうまいもんほかにはないんだから」と明るくいってのけるのに対して、どこどこの地方の人間は「こんなものしかありませんが」といったように、卑下してものを出す、と。そういう部分から、地方によっても人間性のようなものが変わってくるのではないか、というようなことを述べていた。
私はこれを日本とアメリカにも大きく当てはめることができるのではないかと思う。それは、しばしば我々が外国人と接した時に感じるテンションの高さなどにも表れているのではないだろうか。もちろん、明るくないアメリカ人もいれば、明るい日本人もいることは十分承知である。いまここではそうした個別例はのぞいて、あくまでも全体的な雰囲気論をしているということだ。

ピーターパンシンドロームは、大人になりきれなかった大人の症状だ。私はこれは、日本におけるひきこもりと重ねてかんがえることができるのではないかと思う。つまり、この両者はまったく症状の例では反対の性格をしているのである。ピーターパンシンドロームの人間は、しばしば明るいそうである。何よりっも友人たちとのパーティーなどを愉しみ、人生を謳歌しているようなそぶりをする。すくなくともも外見上はそうするそうである。だが、いざ実際ふたをあけてみると、ひどく責任感がなかったり、自分のガールフレンドに母性を求めたり、しばしば男尊女卑的な言動をしたり、ということだそうだ。私はこれをあかるい引きこもりなのではないかと思う。外見上はむしろ外に向かっていく。そのかわりに、内面できちんと反省することができない。
一方日本のひきこもりは、外には出られないが、そのかわりにいつまでも内側に引きこもってぐじぐじしている。私自身もこのひきこもりの一員なのであるが。そうすると、このアメリカのピーターパンシンドロームと、日本のひきこもりとは、社会化できなかった人間という点では同じで、それが方向として、明るいアメリカではより外のほうに放出していき、鬱の国である日本では内側にはいりこんでいってしまった、ということなのではないか、と思うわけである。

それと、私がこの二つの症状を同じものとして捉えているのには、その発生の原因にある。ピーターパンシンドロームがなぜ発症するのか、というところで、このダン・カイリー博士は次のようなことを述べている。この病気はもっぱら男性に多いのであるが、それはなぜか。当時アメリカ社会ではウーマンリブ、フェミニズムの活動が活発になってきて、女性は、女性らしく家庭的に生きる方法と、男性らしく社会に出て生きる方法の、ふたつの生き方を獲得したというのである。それに対して男性はどうであったか。男性はそれまでに安住していた男性であること、そのことから男性的な女性が現れることによって脅かされるようになった。しかし、女性的な男性ということも許されない中で、男性は一方的に追い込まれていったのである。
これは日本における引きこもりとも構図は同じなのだ。男女雇用機会均等法等が制定されるようになって、女性には家事手伝いとして社会に出ないという選択肢と、働く女というように男性的な生き方もできるようになった。しかし、最近では少しは出てきているとはいえ、まだまだ家庭に入る男性というのは少ないわけである。そのような逃げ場のない中で、なんとか傷つかないように、という男性たちが取った行動がひきこもりだったわけだ。これは多分に私自身にも言えることである。
このような男女不平等な差が、男性を追い込み、アメリカでは無責任男に、日本では引きこもり男児にしたてあげているということができるのではないか、と思う。

この本がしっかりしていると思う点は、たんなる分析などで終わらずに、(しばしば最初はいいものの、だんだん歯切れが悪くなってきて、結局何をいいたかったのか、どうすればいいのかわからない、というような本が日本には多い。論理性の違いか)きちんとした対応策などについても書かれている。
ダン博士は、PPS(ピーターパンシンドローム)であるかどうかのチェックテストなども載せていて、かなり実践的な本になっている。最終章では、PPSの人に対してしてはいけない対応、たとえばヒステリックになって責め立てるなど、と同時に、ではどうすればいいのか、という対応などについて書いている。
だが、そうしたメソッドを使用してもどうしようもならなかった場合は、という最終的な局面においても書かれているところに、私は誠実さを感じるのである。
そもそもこのPPSは、病気ではないというところにダン博士の認識はある。それは非常に重要な認識なのだと思うが、こうした異端的な症状というのは、人々はしばしばそれを病気だ!というレッテルを張ることによって除外し、排除しようとする。そのことによって安定を得ようという気持ちになるのであるが、しかし、それらの症状というのは、もしかしたら変化してきた社会に対しての対応ではないか、と考えることもできるのである。むしろ、あと二十年、三十年にして、そちらのほうがスタンダードになったとしたら、むしろ責任感ある男のほうが、あまりにも生真面目だとして症状となってしまうかもしれないのである。すべては相対的な指標によってしかみることはできない。
ダン博士はもしもこれが改善しないようであれば、PPSのガールフレンドには二つの選択肢があるという。一つは別れること。どうしても改善しないのであれば、あなたが不幸になることはない。分かれてしまったらいいというのだ。もっともである。で、二つ目。これが重要な視点なのであるが、それならばそれで仕方がない、受け入れるほかない、というものなのである。そもそもこれは症状であって病気ではない。直さなくてはいけないものではないので、彼女がPPSの男性の、ウェンディ役、母親役になってしまうのもいいのではないか、というのである。なにも全員がティンカーになる必要はないのである。対等な関係をむすぶ必要はないのである。もし、二人にとって、男性的な男性と女性的な女性という構図が一番安定するのだとしたら、それでもいいではないか、というまっとうな感覚を提示しているのだ。
私はそうした感覚にこそ、重要なものがあると思っている。
もし、詳しくピーターパンシンドロームについて知りたければこの本を、読みやすい翻訳なので、手に取って見ることをおすすめする。

コメントの投稿

非公開コメント

こんにちは

はじめまして!あるブログを拝見していたら、このブログに出会いました。私もブログを開設しています。「鬼藤千春の小説・短歌」で検索できます。一度訪問してみて下さい。よろしくお願い致します。

アマゾンでのお買い物が最大10%OFF!!

こんにちは!

アマゾンギフト券が安く買えるサイトがあるのでご紹介させてください^^

アマファン
https://amafan.jp/?sid=26

アマファンは
Amazonギフト券を高く売りたい人安く買いたい人を繋ぐマッチングサイトで、
Amazonギフト券が常時10%OFF〜5%OFFで出品されてます!

アマゾンでお買い物をするなら
アマファンでAmazonギフト券を購入して使えば、
Amazonでのお買い物が10%〜5%もお得になるんです。

すごく便利でお得なサイトだと思いますので、
ぜひご利用して頂ければと思います。

P.S
管理人様へ
サイトをご紹介させて頂き大変失礼致しました。
もしご不快だと思われたのなら削除お願いいたします。m(__)m
┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┼ Amazonギフト券を高く売りたい人安く買いたい人を繋ぐマッチングサイト
┼┼            アマファン:https://amafan.jp/?sid=26
┼┼┼
┼┼┼┼┼          署名:水野小雪
┼┼┼┼┼┼         Emal:koyuki@amafan.jp
┼┼┼┼┼┼┼ 
┷┷┷┷┷┷┷┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
プロフィール

幽玄

Author:幽玄

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
227位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
16位
アクセスランキングを見る>>
フリーエリア
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。