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『だから僕はHができない』と『B型H系』に観る現代における性交渉の難しさ

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ここのところ毎日アニメを12話見るというのが日課になっているのだが、先月見たアニメのなかで、ふたつのアニメに共通する点を見付けたのでそれを記しておきたい。
このところ見ていたアニメというのはどれも学園ものであり、そこには学園らぶこめであったり、がくえんどたばたであったり、学園ハーレムであったりするのだが、全てが全て学園であるために、もはや物語としてのオリジナル性というものはほとんど見ることができず、どのアニメにおいても、学園祭でなにかしらあったり、体育祭でなにかしらあったり、修学旅行でなにかしらあったりと、もはや同じものをキャラクターだけをかえてやっているような、そんな気がしてきてしまう。
どうしてアニメーションはそんなに学園にこだわりつづけるのか、という問題も、一つのテーマとしては十分におもしろいだろう。いずれはそうした点についても考察を深めていきたいと思っているが、今回はちょっとかわった点から全く関係のないと思われていた二つのアニメーションを横断することによって、批評というものをしていきたいと思う。
今回私が挙げるのは、『だから僕はHができない』(2012)と『B型H系』(2010)である。
二つのアニメはもともと関係はない。ただ、テーマという点で共にH,セックス、性行為をモチーフにしているという点で同じなのである。
簡単に両者の違いを明確にしつつあらすじを追ってみると、まずは『だから僕はHができない』であるが、この物語は最終的には学園ものからセカイ系にまで発展していく物語なのである。たった12話でそこまでやってのけているわけで、かなりタイム的にはタイトな作品であったが、学園ドタバタ、あるいは学園バトルものかと思いきや、そこからもうひとつの世界、魔法界のような場所における命運を男性主人公が背負うことになるという点で、セカイ系作品ともいえるべき作品なのである。
もちろん、もとから学園ものというのは少なからずセカイ系との接点のある作品だった。ほとんどの学園ものは、近景、中景、遠景のなかで、中景の部分を意図して描かない。本来であれば、わずらわしい親子の関係、などを私たちの生活は占めていたはずなのであるが、アニメーションにおいてはそれらは完全にカットされ、親の存在は邪魔にしかならないために、体よく海外旅行にいかされてしまっているのである。今回の両作品も大体同じようなものである。
『B型H系』は、女性主人公である山田の物語り。彼女は高校進学と同時に、Hをする友達、ようはセフレなのであるが、H友百人できるかな、とかなりどぎつい理想の持ち主なのだ。そんな山田は(最後まで下の名前は明らかにされない、という謎がある)、なんとかしてセックスをしたいと思うわけなのであるが、なかなかセックスができない。というより、そのツンデレの性格が影響して一人の人間とセックスができるようになるまでの人間関係を結べないのである。そこで彼女は純朴な少年である小須田崇を最初の相手にしようと、彼との初セックスができるようになるまでの物語りなのである。

アニメの世界では一方で、性に困らないハーレムものが存在する。多くの場合は男性主人公を中心として女のハーレムが形成されるが、その逆も比率としては私の感覚でいえば、7;3くらいで存在している。彼等にとっては親という中景の存在もいないし、やりたいほうだいである。明確にそういう描写をするアニメはすくないが、ほとんどの場合は性行為をしていると解釈してもなんら問題はないだろう。
そういうハーレム世界がアニメーションで描かれているという現状をどう考えるか、という問題になると私は思う。安易な回答ではあるが、やはり現実にそういうものが存在していないわけであるので、これらは原作者、あるいはアニメーターたちの理想であると考えてよいのではないだろうか。主に漫画やライトノベルなど、これらのアニメの原作になりえる作品を描いている人たちはサブカルチャー出身の人間であることが多い。とすれば、通称キモオタとまではいかなくとも、少なくともオタク要素を持ち合わせていたわけで、彼等、彼女等の学園生活がそれほど明るく楽しいものであったと考えるには難しいだろう。だからこそ、彼等は自分たちの理想の学園生活を夢想することによって、自分だけの気持ちのいい世界をつくるわけである。そして実際サブカルチャーを受容している多くのひとたちにとってもそれらは麻薬様に気持ちのいいものなので、それらを享受しつづけ、それらを再生産するだけの土台をつくりつづけているのである。
では、妄想世界でそんなふうに簡単にHができる世界を妄想しながら、なぜこのふたつの作品のように、ひどくHをすることが難しく描かれる作品が登場してくるのであろうか。それが問題である。
確かに妄想は気持ちがいい。しかし、それだけを延々と再生していても、そこからはなにも生まれてこなくなったのである。何か別の表現がしたい、そういう気持ちが最初にあったのではないだろうか。
だからこそ、Hがしたい、セックスがしたい、という欲求をストレートに見据え、それに対して立ち向かっていく。そういうことが描かれるようになったのではないだろうか、というのが私の仮定である。

あるいは、確かにスクールカーストといった言葉が数年前に流行ったが、そのカーストの上位、かっこいい男子たち、かわいい女子たち、は、つねに彼女、彼氏をそのグループ内でとっかえひっかえやっているものである。それらはハーレムとまではいかないが、それに近い、オタクの人間が妄想しても届かない享楽を味わっているわけで、セックスには飢えていないはずなのである。とすると、セックスの格差というものが現代社会にはあるのかもしれない。セックスについてオタク的な妄想が誇大し、セックスができない、という作品が産みだされているなかで、それらを普通にしてしまっている人種も存在するのである。そうした人間たちへの、これはルサンチマンととらえてもいいのかもしれない。
実質問題として、オタクたちサブカルチャーを享受する側にとっては、Hというものはひどく難しいものである。そのような人間関係を結ぶのが難しいからである。だが、アニメのキャラクターもそうであるという必要はない。アニメのキャラクターはそもそもそれ自体がサブカルチャーということもあって、『乃木坂春香の秘密』のように、一部作品内においてサブカルチャーが否定されるという作品はあっても、それはごくごく例外に過ぎない。ほとんどの作品ではサブカルチャーということさえも表出化してこないのである。
もちろんそのかわりに、Hができない理由として、うぶであるとか、ツンデレな性格である、といった理由づけがされるわけであるが。
しかし、それ以上に私はHができない理由というのは、社会学者の上野千鶴子が述べているように、本当はHがしたい、という想いがある反面、Hをしたくない、という想いがあるからなのではないか、と思う訳である。上野千鶴子は人間はパンティーには興奮するが、その下の性器には興奮しない、というようなことをいっている。むしろ隠されることがいいというエロティシズムにもかかわってくる問題なのだと思うが、秘められているからこそ求めたくなるのであって、それが公になってしまってはちっともおもしろくないし、そこへの興味はわかないというのである。
だから、アニメの主人公たちは、それは原作者たちといってもいいし、アニメーターといってもいいかもしれないが、Hがしたい、という欲望を持ちつつも、それと同じくらいには、Hを実はしたくない、というアンビバレントな欲求を持っているのではないかと思うのである。
もちろんこれはアニメだから、Hをしてしまったら、目的が達成されたということでお話が終わってしまう、ということもあるが、しかし、なにも一般人は普通にやっているセックスをしたい、というそれだけのために、12話、四時間もかけなくてもいいはずなのだ。それをするからには、それだけ引き延ばさなければなるまい。それだけ引き延ばせるということは、それだけの葛藤があるということである。その葛藤は、Hがしたいけれども、実はしたくないのだ、という矛盾したものなのである。

Hやセックスそのものが作品のテーマになってきているという現状は、それだけサブカルチャー民が性行為から離れてきているということを表しているのではないだろうか。もちろん確かに人一人と性行為ができるようになる関係になるというのは、大変なことでもある。だが、一方で、なんの人間関係もない人同士がセックスだけのために性行為をしているという現状もあるのである。
サブカルチャー民はそうしたセックスを下卑ていると否定するかもしれないが、しかし、そうした否定の裏には、そうした人間関係があってしかるべきだ、という理総論が隠れているようにも思えるのである。そうした理想は理想としてもっておくことは常に重要なことではあるが、しかし、その理想は一度セックスをした後であっても遅くはないのである。セックスはそんなに難しいことではないのだ、ということを体感してからでも遅くはないと私は思うのである。
願わくはサブカルチャー民にもセックスをできる自由があらんことを、と願うばかりだ。

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