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『伝説巨人イデオン』(39話、1980)と劇場版イデオン『発動篇 Be Invoked』(1982) 感想とレビュー

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カラオケにいくと、現代音楽を知らない私としては古いアニソンを唄うのが通例なのであるが、そのなかでも『伝説巨人イデオン』のオープニングを飾った『復活のイデオン』という楽曲は、私の中では十八番であり、大好きな楽曲の一つである。
しかし、ガンダムは見たことがあるけれども、自分が歌っているアニソンのなかで、しばしば実際には本編をみたことがないという作品が実はけっこう多いのだ。『ルパン三世』なんかもよく歌うが、実際に古いアニメのルパンを鑑賞したことはない。
やはりオタク教養主義的人間の僕としては、そういうのはいけないと思うのである。すべてに目を通すことは不可能であるし、それを求めているわけではないが、しかし自分が歌っているアニソンの作品くらいはきちんと目を通しておかなければならない。そう思って今回この『イデオン』をきちんと鑑賞することになったのである。
ちなみに他にチェックしなければならないのは『シティーハンター』『スラムダンク』『ガンダム0083』などなどである。

さて、私はこの勇猛果敢な『復活のイデオン』から『伝説巨人イデオン』をどのような作品かとあらかじめイメージを抱いていたわけである。
今から35年も前の作品なのだから、そんなに深い内容であるはずも無いだろう。きっとこのロボットであるイデオンが敵をバッタバッタとたおして終わりというものだろうと勝手に思い込んでいたのである。
しかし実際には違った。私の認識はことごとく間違っていたのである。
ガンダムはそれまでのロボットアニメと異なり、大人も鑑賞に堪えるだけの力をもった作品であった。初めて戦う主人公の内面というのをきちんと描き、戦いたくないという心理をありありと描いて見せたからである。

そのガンダムを制作した富野監督が、その後につくったのがこのイデオンだったわけである。
私としてはガンダムのほうが世界観がその後も広がっていき、Zガンダム、ZZガンダム、逆襲のシャアなどを含めると、数百話、何十時間という時間をかけることができ、よくもわるくも富野監督の思想が詳細に描写されていると思うわけである。
その点、このイデオンはその思想があまりにも大きかったために、すべて描き切れなかったのかなという感覚を抱かなくもなかった。ただ、その壮大さに、作品、とくに劇場版を鑑賞し終わって私はこころふるえている。

この作品はガンダムとは異なる。ガンダム好きのガンダム世代の先生とよく飲んだりして、そこではもっぱらガンダムトークに花が咲くわけであるが、その先生は、ガンダムは観終わった後、もちろん凄惨なんだけど、それでもなんとなく生きていこうと思える明るさがあるというのである。なるほど確かに、ファーストガンダムなんかは、最後アムロの「ごめんよ、まだ僕には帰れる所があるんだ。こんな嬉しいことはない。わかってくれるよね?ララァにはいつでも会いに行けるから」というセリフで終わる。ここには死んでいったものたちへの哀悼がありながら、それでもなお生きていくのだというほのかな明るさがある。私たちはここに感動してなんとなく力を貰うのである。

ところがイデオンはどうか。アニメ版とその最終話をきちんと描き直した劇場版でだいぶ異なるのであるが、アニメ版では生きる希望といったものは感じられない。
この作品は当然ガンダムを作った富野監督の作品だから、ガンダムと比べられることが多いと思うし、またそうしたほうがその差異から何を描かんとしたかったのかという部分が浮き彫りになってくると思うが、しかし私はある意味においてこの作品はガンダムよりも、エヴァンゲリオンを比べたほうがおもしろいのではないかとも思うのである。

というのも構造がものすごく似ているからだ。特にアニメのラストと劇場版の成り立ちといった部分がエヴァに非常に類似している。あるいみではガンダムやイデオンを見て育ったであろう庵野監督は、まぎれもなくイデオンの影響を受けているといってもいいだろう。
イデオンはガンダムがニュータイプだなんだといってかなりサイコっぽくなっているが、最後の一線で、どこが現実と結びついているのに対して、イデオンは完全にそのところを無視して、世界の創造といった神の領域に突っ込んでしまっているのである。そのふっきれかたが、最初見た時にあまりにも衝撃的だった。

いちおう鑑賞した作品は感想を書こうと思っている。そのなかでもできればおもしろく書こうと、作品を鑑賞している途中からいろいろなことを考えて書いているのだ。あ、この成分を分析したらおもしろいな、とか、この作品においてなぜ赤ん坊は泣くのか、とかいろいろ考えるわけである。だが、それもアニメ版であれば39話、あるいは劇場版を鑑賞するとすべて吹っ飛んでしまう。それくらいにこの作品のラストはあまりにも吹っ飛んでいるのである。

まずエヴァとの類似点であるが、というかエヴァが真似したというべきか、アニメ版39話では、世界が崩壊、あるいは再生してしまうのである。バックフラン出身のカララと人間ジョーダンベスの子供である赤ん坊と、第六星人の残していったイデの共鳴により、その宇宙にいた人間、バックフランは両者ともに消滅してしまうというびっくりのオチがまっている。

「そう、カララとドバの対面こそ、イデが与えた最後のチャンスだったのだ。
それを人々は、お互いに拒否した。
そのために、イデは、その無限力を解放していったのだ」

「その力が、新たに生まれつつあるカララの赤ちゃんがきっかけとなっていたことは事実である。
そして、地球もバッフクランの人々も、因果地平・・すなわち、宇宙の果てへ四散したのかも知れなかった」


アニメは打ち切りになってしまったという当時のアニメ業界の状態もあって、突然の終わりを迎えてしまう。この突然世界が真っ白になって、赤ん坊だけが生き延びて新しい生命が誕生しました、というようなオチは、アニメ版エヴァンゲリオンのあの心理描写に突然突入してそのまま「おめでとう」で終わってしまあれににているのである。
しかし、それで視聴者が納得するわけにはいかず、約一年後の1982年には劇場版で、39話の部分をもう一度やりなおしたのである。この経緯もエヴァンゲリオンの25,26話からの劇場版の流れに似ている。

劇場版では単なる宇宙崩壊みたいなことにはならずにきちんと描かれる。カララとその父との和解が不成立した後、両者は自分たちの星がイデの力によって隕石により崩壊させられてしまうことを知る。そんな状況になってまで、人々はイデというあまりの力の前に、協力してそれを封印したり利用したりしようということにはならずに、ますます相手を恐れ、憎み、戦いにあけくれていってしまうのである。
総力戦となる両者。「皆殺しの富野」と称されるように、劇場版では特にそのこれまでのクルーたちの凄惨な死が描かれる。この展開はZガンダムよりも悲惨なものかもしれない。なぜなら生きのこる人物が一人としていないからである。ある意味ではみんな死んで霊体のようなものになっているので、生きる苦しみが無く平等という点においてはまだましなのかもしれないが。

しかしイデの発動により劇場版においても再び宇宙が破壊、再生されていくなかで、両者の血をひき、醜いエゴなどがない赤ん坊であるパイパールウと、メシアによって、それまでに死んでいった者たちは救済されていくのである。
此処に何を見出すのかというのが、視聴者が与えられた課題であろう。ある意味でシャアができなかったエゴを持った人間たちの粛清というものを、ここですでにできてしまっているのである。富野監督はイデオンによって一度人類を浄化させることに成功しているはずなのである。
だが、それではいけないと思ったのだろう。その後逆襲のシャアを作っているところをみると、やはり粛清、浄化をアニメでは行ったが実際には行うことができないということに気づき、また人々がなんだかんだいって、この醜い世界のほうを選択するということを知っていたのである。

だからまだ若かった富野監督によるこれは一種の理想の形だったのかもしれない。
しかしその理想形は、やや極端ではあるが、確かに共感できるところなども多く、これが最近の細田監督や新海監督への拒絶と対比すると、受容される要因になっているのかもしれない。

はなしとしてはむちゃくちゃなのである。昔のアニメだから現代と文法も違う。現在描いたら、アニメ40話は2クール24話程度にしかならないであったろう。地球にもどってそこからさらにアジアンにもどってくるという大した動的動きのない作品を40話にまで引き延ばせたのは、その当時の時代性である。
物語りだって古代人が残したイデという恐ろしいものによって、今生きる人々たちが全員巻き込まれてしまって終わりというあまりにも救いようのない話である。それがなんとなくそれでも世界は浄化され、新しい命が、と希望を持てるのは、冨野監督の思想の根本がそうしたこれだけ生きにくい世界であっても、命というものを肯定する思想があるからだと思う。
そういう意味において、宮崎駿の漫画版『風の谷のナウシカ』のあの感動ににた感動をこの作品にも感じ取ることができると思う。

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