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アニメ映画『神秘の法』(2013) 感想とレビュー

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一応アニメ映画の専門家を語っているので、アニメ映画は人よりチェックしているつもりである。二三年前にこの幸福の科学が出している一連のアニメ映画、この『神秘の法』の予告編をみて、「見て~!」と思ったものであったが、当時はまだ若かったし、宗教などに関して未発達な部分もあり、なによりもなんだか怖いからという理由で見送ってしまった作品の一つであった。

私自身の宗教体験を簡単に述べれば、小学生の頃アラブ首長国連邦で五年ほど暮らしていたのでイスラム教を肌身で感じ、中高ミッション系の学校に通っていたので六年間キリスト教の勉強をし、大学では佛教大学に行ったので仏教を学び、世界三大宗教をいちおう知識、感覚として身に付けているつもりである。
大学一二年のころまでは特にその中でも何かを信じたりと言うことはしなかったのであるが、四年あたりから徐々に仏教、特に何派ということではなく、ブッダが述べた言葉に関心があり、一応仏教は信じるに値するなと考えているのが現状である。

さてそのようななかで、こうした宗教に関連した作品をどう取り扱うのかという問題である。もちろんこの作品のバックとなっている大川隆法、ならびにその宗教団体である幸福の科学が、仏教系の新興宗教であるということを前提として話すのは当たり前なのだが、だからといってそこに終始するのかというと、それはあまりおもしろいとは言えない。
私はむしろ、そうした背景はある、として、もともとテクスト論の技法を学んできた人間なので、一端それはおいておいて、表象に出て来たものはきちんと表象の部分で分析しなければならない、と思うのである。

確かにこの作品にはいろいろとその成立状況が他のアニメ映画と異なる部分があり、しばしばそこを論じたくなってしまうのではあるが、それは他の論者にさせておくとして、私は表象の部分をもうすこし見ていきたい、そういう態度がこうした作品を取り扱う際に必要なことなのではないかなと思うのである。
さて、現在集団的自衛権だのなんだのですっちゃかめっちゃかやっている我が国日本であるが、この作品はみごとにその部分をついてきているのである。そういう点で、この作品はおもしろいと感じた。
この作品では隣国中国と思われる国で軍事クーデターが発生し、皇帝の独裁状況になってしまっている。二十年前から徐々に軍備を拡大し、しかも近年人類の科学力では理解できない特殊な技術を有することになってしまった。それに対して、我が国日本はなにもせず、憲法9条のためになにもできず、アメリカも軍事費削減のためにもはや中国の跡、帝国ゴドムに太刀打ちできなくなってしまっているのである。

そこで帝国ドゴムが日本を攻めてくるというところから物語は始まる。まあ実際に中国が日本をせめてくるようなことは、おそらくないとは思うが、しかし人類とは時としてその予想をはるかに越えたことをやってのけることがある、可能性がないとはいいきれない状況においては、この帝国ドゴムが日本を侵略してくるというのは、あり得るかもしれない未来という意味では非常によくできた面白い設定なのである。
それに対してどう対応するのかというのが物語りを回していく。
主人公である獅子丸 翔は、救世主であり、ブッダの再来だと言われる。瞑想をすることによって、その真理に到達した彼は、その力をもって、何度も破れそうになるのであるが、その度に仲間がすくってくれたりということで、最終的には、この地球をあわよくば侵略しようとしていた宇宙人たちのたくらみをはねのけ、地球人たちの勝利をもたらしめるのである。

念のために述べておかなければならないのは、この作品が大川隆法が原作だから、という理由で忌避されてしまうのはもったいないということである。やはりアニメ作品はアニメ作品としてみたらいいというのが私の立場だ。
実際ある程度の仏教の知識がある私からしてみても、この作品が特になにかへんなことを言っていたりするわけでもなく、主張していることは、やや説教臭いところはあるが、しかし至ってまじめで、現代人には身につまされる指摘であるということである。
この部分はきちんと真摯に我々は引き受けなければならないところであると私は思う。

つまりこの作品では精神性の重要さをといているわけであるが、もうすこしうまくやってほしかったなというところはある。単純に主人公の獅子丸 翔が、声優に子安 武人が勤め、ナイスボイスで真理を言葉だけで主張してしまうのである。映像をみていて、なんとなく、ああそうだよなと思わせる努力がもうすこしなされるとよかった。言葉だけでの説得ならば、どの媒体でもできるからである。あえてアニメーション映画という手法を使用しているのだから、もう少し映像的に訴えかけるものがあるとなおよかったと思う。
だが、その主張の内容はちっとも間違っていないどころか、むしろまっとうなのである。幸福の科学が作っているの?と聞くとぎょっとしてひいてしまうかもしれないが、そういう気持ちでこの作品をみると、ものすごくまじめでまっとうなことに、むしろびっくりさせられるくらいである。

しかもここで主張されているのも、ものすごく控えめな、ほとんど簡単な説教程度のものなので、説教くささもなく、普通にアニメ映画として見られるのである。
その内容はというと、この物質文明の現代において、我々人間は目に見えるものだけを信じて生きている。そこに悪魔のような存在が憑りつき、自分の身体だけが全てだと思ったり、お金儲けに走ったりしてしまう。しかし本当に大事なのはもっと目に見えないことであり、精神的なものである。それを大事にしろよ、そのためには愛とか、知とか、勇気とかそういうものが必要なんだよ、というあまりにもまっとうすぎる話なのである。
むしろもっと奇抜なことをやってもらいたいくらいである。

あまりの内容の普通さと、展開の普通さから、この作品の評価は五段階でいったら2である。
まあ普通、の3よりも、さらにひくくしたのは、なんのひねりもなかったからである。他の作品に期待したい。

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