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第1期『逮捕しちゃうぞ』(51話、1996-97)感想とレビュー

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第一期、『逮捕しちゃうぞ』全51話を鑑賞した。まだ第一期しか鑑賞していないが、さらに20話ほどのpart2、それから第二期、第三期それぞれ26話とあり、全部で120話ほどの大長編の作品であるらしい。
こちかめのリアルバージョンといったらいいだろうか、もちろんなかにはそんなものはあり得ないと思われるものも確かに数多く存在するが、かなり現実に摺り寄せた内容で、この作品は90年代のリアリティーの追求されたすばらしい作品ということができるだろう。

そもそも大抵の職場というのは、想定外のことが起こってはこまるものであるし、そのような出来事が起こらないのが常である。しかし、警察署となると様相は変わる。つねに臨機応変に対応しなければならなくなるくらい、さまざまな出来事が起こるのが警察署なのだ。
もちろん実際の警察署は、もっとなにもおこらず、しかももっと体育会系の厳しい環境だとは思うが。
しかし、この作品を見れば、多くの人間が警察署のフレンドリーな職場関係と、日常を退屈させない多くの出来事の魅力によって警察に入りたくなるものであるだろう。

私は警察や国家権力というものが大嫌いなので、このアニメを冷静に見ることができるだろうかと思ていた。もちろん警察ばかりが取り締まることができて、その実警察だって違反をしているではないかという描写が多々あり、むかつくことがなかったわけではない。私個人としては警察をも取り締まれる警察以外の組織があったほうがいいと思っているが。より市民に立脚した、軌跡シリーズでおなじみの遊撃士協会のようなものがあればいいなとは思うのであるが。
それはともかく、やや時としてムカつくことがないわけではなかったが、しかし全体としてはきちんとアニメ作品として楽しむことができたと思う。

この作品を分析するのにはいくつかの手法がある。例えば私がやりやすいなかでいえば、日常性という問題と、ジェンダーの視点から読み解くことが可能だ。
この作品は主人公が女性だし、警察官のなかにも多くの女性従業員がいることから、ジェンダーフリーな作品と読みとくことができると思われるかもしれない。事実それを目指していたであろうことはわかるし、実際にそうなっている部分も多い。しかしである。課長が男性である点や、重要なポストについているのが男性であり、その男性の庇護下のもと、女性は働いているという構図はやはり変わっておらず、この作品は実は強い男性のもとで女性たちががんばって働いているという構図になってしまっているのである。
そのため主人公の1人である辻本夏実は父権的な男性である課長を好きにならずにはいられない。そこには父の強さを求めているのである。

あるいは日常という観点から。多くの作品がオタク的想像力のなかで、現実の仕事をしている自分から逃げ出すためにあのころはよかったという妄想から、そのほとんどは高校生活の日常のなかに耽溺することになる。そこではドラえもんと同じように、直線の時間は存在せず、永遠と同じ時を繰り返す、円環する時間軸が採用されるのである。
その点、この作品がすばらしかったのは、そんなに過去の妄念に囚われて学園ものに耽溺するのではなくて、現実に働いているその職場に目を向けてみようではないか、という点だったのだ。

仕事という概念が理解できずに、結局二ヶ月しか働かずにひきこもりになってしまったオタク評論家の僕としては、やはり仕事に一生懸命になれる人は羨ましい。それにもしこんなに人々がフレンドリーだったなら、私も働けたかもしれない、と思わなくはない。
だが実際にはこの作品の様にひとびとはフレンドリーではないし、もっと人間関係がぎすぎすしていて厳しいものなのだ。それに私には仕事を一番にという思想はどうしてもなじめないし、それにがむしゃらにがんばれる人というのは遠い存在であり、私にはとてもまねできそうにない。
事実、ここに登場する人々はその多くが仕事だけの人間であり、仕事がたまたま自分のやりたいことになっているからいいものの、仕事が一番ではないという人達にとってはかなり厳しい世界が描かれていることは間違いないのである。

それでも時代性というべきなのだろうか。まだ仕事というものがその人のアイデンティティーになりえた90年代としては、仕事が一番という描き方がまだ許された時代であったのである。
そのような「楽しい」職場においては、時間軸というのはエターナル的な永劫回帰として円環する。繰り返される日常のなかで、さまざまな出来事があり、人々は愉しく毎日をおくっていくのである。
しかし、そのようなずっとつづくと思われた日常のなかでも、東海林は去っていくし、辻本は自分の場所を求めに本庁に出向く。あるいは、小早川と中嶋の関係も変わるかもしれない。徐々にその変化はあるのである。

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