スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『ウィンダリア』(1986) 感想とレビュー

61CGaH.jpg


 以前から気になっていた『ウィンダリア』を鑑賞した。
 私は古いアニメが好きなので、80年代、90年代あたりのセル画を使用したこれらの作品群が大好きである。またこの時代はOVA,オリジナルヴィデオアニメの隆盛を計った時代でもあり、数々のバリエーション豊富なOVAが存在する。まさにアニメ世界のバブル期であったわけだ。
 実際のバブル経済とも相まって、資金的にも豊かだったのだろう。時間とお金をかけた痕跡がみてとれる。
 さて、80年代あたりのOVAはどれも水準が高いので、安心して鑑賞することができる。その時代に活躍した漫画家たちの脚本や読み切り作品の映像化という作品も多々ある。それらの作品も、漫画における表現の模索をしているので、どれも実験的な作品が多い。
 今回の『ウィンダリア』であるが、この作品はカナメプロダクションによる制作、原作・脚本は藤川桂介、監督は湯山邦彦の、オリジナルストーリーである。
 とにかく鑑賞してすばらしいと思ったのは、その画力である。周辺のアニメ映画も鑑賞しているが、この作品はそのなかでも群を抜いて画力がすばらしい。下手をすれば、ジブリ映画の描く自然よりも、ある点においては優っているといってもいいかもしれない。それくらい、海の描写などは見事であったし、ウィンダリアの木々や、農村の人々の暮らしなど、綺麗な描写が目立った。
 声優陣も豪華であるし、なによりも映画に華を添えている。
 ストーリーもよくまとまっているし、テーマ性があり、一貫していた。
 この作品のテーマは約束である。途中で挿入される新居昭乃の曲名も「約束」になっている。私はちょっとした新居昭乃のファンである。正確には、マクロスプラスによって彼女のことを知ったのであるが、それからつまみ食いの様に彼女の曲をいくつか聴いていた。そのなかでも特に好きな曲が「約束」であり、その曲が流れた瞬間、ああ、この作品で使われていたのか、と驚きを隠せなかった。

 南方の海の国・イサと北方の山の国・パロの中間にある、サキの村で、主人公である青年イズーと、その妻マーリンは、貧しいながらも精神的に豊かな生活を送っていた。おいしい野菜を人々に届けるというささやかな使命によって二人は充足した生活をしていたのである。
 ところが、長い間休戦協定を結んでいたイサとパロ。そのパロが約束を破りイサに謀反をはたらくことになる。これ以降、調和のとれた美しい世界が、徐々に戦争という暗雲に呑み込まれていくことになる。当初持前の正義感からイサの海門を閉じ、イサの人々を救ったイズーであったが、彼は徐々に自らの功名心にその正義感を失っていく。
 彼は美しい妻もいて、精神的に豊かな生活を送っていた。しかし、それでは彼は満足できなかったのである。金銀財宝を与えるといわれて、パロの大臣にそそのかされた彼は、イサの海門を開き、イサの国を滅ぼし、人々を殺してしまう。その成果によって、英雄となったイズーは、三か月間パロにて享楽的な生活にふけるのである。しかし、与えられた女に裏切られたことを知り、やっとのことで自分を取り戻すイズーーであるが時すでに遅し。サキの村に帰るイズー。そこに残されたのは戦火によって廃墟とかしたかつての姿を見ることもない、荒廃した村の姿であった。
 人っ子一人いない状況のなかで、諦めかけていたイズーは自宅に戻る。なんとそこには、マーリンが1人、夫イズーの帰りをまっていたのである。しかし、そのマーリンはすでに死んでいたのだ。イズーを待つという約束を守るため、霊体になってまで彼の帰りをまっていたのである。
 大切なものをすべて失ってしまったイズー。ようやく彼は何が大事なものであったのかを悟るのである。この物語は冒頭から中盤まで、みごとに美しく調和された世界を描写する。そのようななかで、読者は安心してアニメの美しさに身を浸せていることができるのであるが、しかし、後半からは徐々にまがまがしい雰囲気が重くなり、最終的にはかなり悲劇的な終わり方をしてしまうのである。
 唯一の救いは、この世界のなかでは魂は幽霊船に向かっていき、そこでなんらかのその後の生を与えられているという点である。イズーは自らがその幽霊船の船長になると誓い、ふたたびマーリンとともに過ごすことを約束する。しかし、それはこの世界だから可能なわけであって、実際にはそういうわけにはいかない。この作品もそれとなくそれが現実的でないような雰囲気も漂わせており、悲しいエンディングになっている。

 また、この作品ウィンダリアが素晴らしいのは、イズーとマーリンのカップルのほかに、それと対となる、アーナスとジルのカップルについても丁寧に描写しているからであろう。アーナスとジルは、それぞれの国の王女と王子。その二人は付き合っていたのである。しかし、それぞれの両親である国王と女王の間にお互いへの不信が生まれ、やがて戦争へと発展してしまう。ちょうど戦時中にそれら国王と王女の命が絶たれ、その意志をつぐことになった二人。望まぬ戦争のなか、二人は悲劇的な最期を遂げてしまうのである。
 展開といい、画面といい、声優といい、あらゆる点でケチのつけようのない作品であると私は感じた。ここ最近でみた作品で一番面白かったと思う。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

幽玄

Author:幽玄

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
187位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
14位
アクセスランキングを見る>>
フリーエリア
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。