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『ザ・超女』(ザ・スーパーギャル)(1986) 感想とレビュー

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 この作品は、あまりにもあけすけに描かれているので、苦笑いせずにはいられない作品だった。
 この作品は、『週刊少年サンデー』1980年秋の増刊号2(10月号)に掲載された、高橋留美子の短編読み切り漫画を原作としたOVA作品である。この時代特有のテンションの高さとズレのような感覚がみごとに表現されている作品である。
 主人公マリスは数年前に滅びてしまったタナトス星の住人。タナトス星人は他の星の人間に比べて6倍もの力をもっている怪力の生命体なのである。だから、地球制の宇宙船などではすぐにこわしてしまう。そのためタナトス星人は、ただでさえ貧乏な星だったというのにもかかわらず、つぎつぎと器物を破損してしまうので、その弁償代がかさみ、借金で首がまわらなくなってしまっている、という設定だ。
 通常アニメーションというものは、現実からよくもわるくも浮遊した存在であった。そうした作風だからこそ表現できるものがあったはずである。だが、この作品では、始終一貫して、主人公はお金がないということ、貧困で苦しんでいるのである。こんなアニメは見たことが無い。それで私は笑ってしまったのである。
 さて、ジェンダー的に考えると、このお金が全てである資本主義社会のなかで、なんとか女性であるマリスは生き延びなければならない、と必死に職務をまっとうし、お金を稼ぐ。男女雇用機会均等法が制定される前の作品である。女性がつける職業もすくなかったであろう。女性はまさしく貧困のなかにいたのだろう。
 しかし、そんなマリスに一発逆転の話が持ち上がる。大金持ちである黄金丸が誘拐されたというのである。この黄金丸を救い、彼との既成事実をつくってしまえば、お金持ちになって貧乏からは解放され、そのお金で星を買い、ギプスをつけなくても済むようになる。それが彼女の夢となるのである。
 誘拐犯であるスーも同じくタナトス星の出身である。彼女も貧困から黄金丸を誘拐する。私などは、同じくタナトス人同士なのだから、協力してお金をまきあげればいいではないか、と思うものの、そうはいかないらしい。そもそも二人はかつてプロレスラーとして戦っていた経験があり、往年のライバルだったのである。ここは玉の輿を狙って、黄金丸の取り合いになる。
 せっかく女子が力強く戦っている、ということで、ジェンダー的には解放された作品なのかと思って鑑賞していたら、なんとその戦う理由が、美男でお金持ちの王子様をゲットするためということになっては、まったくジェンダーから解放されていないどころか、それを強調してしまっているのである。その点でこの作品は、ジェンダー的にはものすごく遅れた作品ということになる。
 しかし、そんな批判がなされるにもかかわらず、主人公マリスとスーは非常にいきいきとしているのである。ジェンダーがうんぬんといったところで、これだけ真剣に自分の王子様をゲットするために戦われたのでは、、ジェンダー研究者もなにもあったものではない。むしろ、私は一生懸命戦うマリスとスーに共感を抱いてしまったのである。なんといっても、かわいいからだ。高橋留美子が描く女性はどれもちょっとぽっちゃりしていて可愛いのであるが、この作品ではそこにさらにエロスが加わってくる。彼女たちはまるでレイプされているのではないかと思われるくらい激しく身体をなぶりあい、お互いに戦いあうのである。
 ジェンダーを越えているのか、あるいはそこに収束されているのか、よくわからない物語である。

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