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『あずみ』、『あずみ2 Death or Love』 感想とレビュー

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 映画「あずみ」を鑑賞した。
 こういうアクション映画というものは、どれも批評がしづらい。私自身は小説が専門であり、物語構造分析の手法を用いる評論家であるから、このようにストーリーが一番重要ではない作品の分析というのは、どうにも性分に合わないのである。
 こうしたアクション映画の楽しみ方、というものも、そもそも私はわかっていない。ただ単にアクションを愉しめばいいのだろうか。しかし、内容がないようで、なにをどう分析したらいいのかよくわからない。
 一応内容というものはある。小幡月斎によって拾われ、育てられたあずみ、他9名の子は、たがいに武術の腕を磨き、暗殺集団として成長させられる。暗殺集団が目的とするのは、浅野長政、加藤清正、真田幸村の三武将を倒すことにある。これらの三武将は関ヶ原の決戦で生き延びた武将であり、それぞれ豊臣秀吉をこそ、主君と思っている武将である。彼等は打倒徳川を掲げており、ふたたび天下をとろうとしているのである。関ヶ原の戦いを生き抜いた南光坊天海と爺(小幡月斎)は、その戦場を見て、二度と戦いの起きない世界を誓う。そのためには、徳川の世を乱そうとするものを暗殺しなければならない、という結論に達するのである。
 いずれの人物も、よくもそこまで信念を貫けるな、というのが感想である。
 私のような意志薄弱な人間は、人を殺さなければならないのだったら、何もしない、という選択肢を選ぶにきまっているのである。爺の執念と、その意志を受け継いだ10名の暗殺者たちは、よくもまあ二度と戦を起こさない、というためだけに、命を捨てることができるものだと思う。しかも、暗殺者の最後の試練は、鋼の心を持たなければならない、という爺の命によって、もっとも仲良かった仲間を殺すというところから始まる。
 私はあずみ、他登場人物たちの生き方に反対せざるをえない。そこには選択肢がないからである。自分の腕を磨いたのならば、自分の頭で行動しなければならない。いくら命を救われたからといって、爺の命令通りに仲間まで殺すのはどうしたものか。そんなことならば、現世利益的な私は、美女丸のように欲望に付き従う生き方のほうがまだいいと思う。
このあざみたちには最初から選択肢がないという点は、やはり注意して読み解かなければならないだろう。そこには、例えば宇野常寛が指摘したように、この世の中のゲームに参加しないという選択肢がないからである。このような選択肢がない作品がヒットし、それがある程度メディアで大きく取り上げられるということは、少なからずの人々も選択肢の無さを感じているわけであり、社会の幅の狭さを体現しているといわずにはいられない。
 もちろん、途中であざみには何度か選択肢が示される。一作目では、旅芸人のやえとの出会いによって、それまで戦士として育てられてきたあずみに、初めて女性としての生き方を発見するのである。あながちそれも悪くはないと、あずみは、やえに借りた女ものの着物を着て一時をすごす。しかし、そんな二人を、野盗が襲う。あずみは、自分は望んでいないのに、周りが私に剣を振るわせるとして、ふたたび修羅の道へもどってしまう。
 二作目でも、あずみは再び人間としての生を選択する機会に恵まれる。それは、なちによく似ている銀閣との出会いである。銀閣等はその日暮らしの享楽的な生き方をしており、あずみの生に対して疑問を抱かせる。それまでのあずみは、自分の生について疑問すらもったことがなかったのである。悩まなかったのだ。だからこそ、この作品は深さが足りなかったのかもしれない。あずみは、葛藤しない。それは戦うこと、人を殺すことへの葛藤である。葛藤したのは最初のなちと戦う場面くらい。これは、明らかに、ガンダム以降、苦悶する主人公、心理をえがいた作品、以前へと退化していると指摘できるのではないだろうか。
 その点、あずみという作品自体が抱える脆弱さというものが、ここに現れているのかもしれない。

 作品の構造や、ストーリーの稀薄さ、薄さという点については、いくつか欠点を述べなければならないだろう。しかし、映画をみていて、確かにある程度の面白さは感じたのである。それは一体なんなのだろうか。原作を読んでいないのでわからないのだが、この映画の実写化は成功しているのだろうか、どうなのだろうか。映画だけを見た者としては、この実写映画は成功しているのではないかと感じる。
 というのも、先日観た蟲師でも同じことを論じたのであるが、実写には実写の強みがあるからである。この作品でも、主人公のあずみを演じる上戸彩は、見事にきらめいている。画面のなかをすっと切るように、上戸彩の魅力が作品を冴えさせているのがよくわかる。
 よくあれだけの大立ち回りを行ったなと思う。あれだけの殺陣を行うのは大変であったろう。また、あずみ以外の配役にもかなりの大御所が使われていて、その点は安心していられる。一作目では、冒頭20分ほどで、仲間同士の切り合いで死んでしまう登場人物にも瑛太などの役者が割り当てられており、丁寧な配役になっているなと感じた。
 そういう点で、この実写映画は、実写映画ならではの楽しみというものがあり、それが成功しているのだと感じる。

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