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小説『ティファニーで朝食を』 トルーマン・カポーティ 感想とレビュー 自由奔放な女性にはご注意を

今回はティファニーで朝食をについて、村上春樹訳カポーティの小説と、映画の両方の視点から観ていきたいと思います。
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先ず小説について。
私が読んだのは新潮夏の100冊に選ばれていた村上春樹訳のティファニーで朝食をです。村上春樹の訳ですので、普通に現代小説を読んでいるかのごとくスラスラと読めました。この点において村上春樹は小説だけに限らず、翻訳者として十分に腕があると感じます。もちろん私はカポーティの小説を原文で読んだことはありませんので原本がどのような雰囲気であるのかは完全には理解できませんが、春樹さんの訳を通じることによって今から半世紀ほど前のアメリカ、マンハッタンを旅してきたような心持になれます。
ページは文庫本で170ほどですから中編か小編のあたりでしょう。
物語は主人公の作家ポール・バージャクと酒屋の主人ジョー・ベルの会話から始まります。話は何年も前に姿を消した女優のホリー・ゴライトリーのこと。なんと何年も行方が知れなかった彼女がアフリカでたまたま撮影された写真に写っていて、これはもしかしたら彼女なのではないかという場面から始まります。
そして次第に主人公の回想へと移行するわけです。当時のアパートがどのようなシステムなのか私には推し量れない部分がありますが、このアパートの構造がまた重要になってくるのですね。下からホリー、主人公、ユニオシという順に住んでいるのですが、このホリーが何度も鍵を忘れてしまうのでそのたびに主人公やユニオシにベルを鳴らしてあけてもらうということをします。
このユニオシ氏という人物、映画ではずいぶんひどく描かれていましたが、彼は日本人という設定ですからねなんだか馬鹿にされたような感じがいたしますがそれはさておき。
ホリーはニューヨークの新米女優、自分のアパートでしょっちゅうセレブや業界人を招いてはドンちゃん騒ぎのパティーをし、外にでてもパーティー三昧という有様。もちろん彼女は絶世の美女ですから、そうしたお金持ちの人間が何人も言い寄ってくるわけです。しかし彼女はそれらを悉くスラリとかわし続ける。本当に天真爛漫という言葉が合うような人なんですね。しかしそんな彼女もなにかを隠しているような部分があり、これが男性の心をくすぐる。まるで遊女のような外交をしながらそれでいてどこか誠実、清廉としていて、気ままな女性なのです。そんな彼女に当時駆け出しの小説家であった主人公は恋をします。
階下に住んでいるのになかなか心を開いてくれない彼女、一時は親密になったかと思っても次に会うと他人行儀のようによそよそしかったり。しまいにはホリーの夫であるという人物までも登場し、それを何とか和解のもとに故郷に返すのですが、今度は社交パーティーで出会ったホセというお金持ちと結婚するといいはじめる。
しかし、彼女が毎週訪問していた監獄にいる人物がマフィアのボスであることが検挙され、ホリーは麻薬の密売に手を貸したとして逮捕されてしまいます。これに家名が穢れるのを恐れたホセは結婚しようとしていたホリーに対し、置手紙だけのこして逃げてしまいます。しかしホリーはもうここにいてもどうしようもないといってそのままブラジルへと飛び立ってしまうのでした。
春樹自身が言っているように、この主人公やホリーはやはり映画での配役と一緒だと考えて読んではいけないとわたしも思います。先ず主人公とホリーとの恋は一方的なものであって、それから主人公はもっとあまりいけていない人物と考えるのが適当でしょう。
ちょっと億手でオタク気質な主人公がまったく何もにも支配されない自由な女性ホリーとの出会いによって次第に変わってゆく心情、これが小説の表現できる最高の部分だと感じました。
しかしこの本をあんまり感情移入しすぎて読むとどうしてもホリーという女性を手に入れたくなるものなんですね。しかしホリーは誰にも束縛されない自由奔放な女性。そしてたぶん無理に我が物にしようものならホリーはそのとたんに魅力を失ってしまうでしょう。
こんなに心が動かされる小説を久しぶりに読みました。
ところでティファニーは宝石店ですし朝食を食べるところなどありません。だから結局タイトルのようなシーンはないのですね。そこは私もびっくりしましたが、これはホリーが小説のなかでちゃんと言及しているのでそんなとこもきにして読んだら面白いかも知れません。
作者はいずれこの本はティファニーで飾られるようになるといっていたそうですが、現実にはどうなったのでしょうかね。
新訳で読みやすくなっていますので皆さんも読むといいと思います。

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