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ブレイブリーデフォルト 感想とレビュー 私的解釈

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サブカルチャーとRPGの流れ
 数あるゲームのなかでも、RPGは特にサブカル的要素が強く、他作品への影響も強いだろうと思ってできるだけ触れるようにしてきました。今回はまわりの友人たちにおすすめのRPGはないか?と聞いたところ数名から名前が挙がったブレイブリーデフォルトをプレイしてみました。(プレイしたのは『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』、通称FFバージョンです。)

 なお、この記事は多分にネタバレを含んでおります。このゲームはゲームの特性上ネタバレをしてしまうと面白味が減ってしまう可能性があるのでご注意ください。
 このようなRPGゲームを一本制作するのにどのくらいの時間がかかるのかわかりませんが、比較文学など、作品と作品を比較対象として取り扱う分野では、似たような要素が含まれていた場合、先行した作品から影響があった、影響関係というものが考えられます。
 何を言いたいのかと言いますと、この作品は2012年10月の発売です。
 私がこの作品と比較したいのは、言わずもがなで『魔法少女まどか☆マギカ』
 どちらの作品も知っている方には何が言いたいのかわかるだろうと思いますが、一応説明させていただきます。

 2011年、ちょうど3,11があった前後に、かつて社会現象ともなった『新世紀エヴァンゲリオン』のように、秘かし、しかし再放送を繰り返すたびに話題が急上昇していったアニメ作品がありました。それが『魔法少女まどか☆マギカ』です。この作品は、それまでなぜ魔法少女は魔法を使えるのか?といった作品の前提となっているものに疑問を投げかけた作品として、カウンターカルチャーとして十分に批評性を持った作品として登場しました。今まで魔女っ娘サリーから、おジャ魔女ドレミまで、ありとあらゆる魔法少女はなぜ魔法が使えたのか?そこには誰も触れてきませんでした。「魔法少女もの」という一つの系譜がいつの間にかできあがってしまっている。そういう状況に対して、それはなぜ?という疑問を呈したことがとても重要だったわけです。
 そのような批評のなかで、実はこういうことだったのだという謎解きがされます。最終的には、魔法少女と契約を結んでいたマスコットキャラクターが悪役だった、という衝撃的な結末でした。
 今まで信じていたものが、主人公を守り導くはずの妖精の役が、実は悪役だった。こういう大きな転換を成し遂げたのです。ちなみにこの妖精というのは、古くはシェークスピアの『真夏の夜の夢』に重要な役として登場しますし、そのシェークスピアもヨーロッパの古い物語からその発想を得たと考えられますから、源流はヨーロッパのおとぎ話から来ているのでしょう。

 実は身近にいた人物が悪者だった、という展開は2011年にきてようやくアニメーションの世界で板についたような感じがします。もちろんそれ以前からそういう作品は多々ありました。ミステリー小説の分野などでは、もっと早くからそうした画期的な試みが行われています。


 さて、RPGの流れはどうかといいますと、当初はドラクエ、FFと、西洋の騎士物語に根拠を求めた作品が人々に愛されました。ドラクエ5などはJ・R・Rトールキンの『指輪物語』の影響が強く感じられます。いわゆるファンタジーの世界なのです。
 ところがここにテイルズシリーズが介入するようになってきて、RPGゲームの世界は徐々に魔法や騎士の世界から、サブカルチャーに寄り添っていきます。H・Gウェルズに始まる時間旅行(タイムリープ)や、古代文明といったものが作品内に現れ始めます。しかし、どれをとってみても、やはりRPGにそれらの諸概念が入ってくるのは、そんなにタイムリーではありません。少し時間をとってから入ってくるように私には感じられます。
 そんななかで、サブカルチャーのなかでは一番ありえなさそうな奴が悪役という確立してきたスタイルが、ようやくRPGゲームのなかにも入ってきたのか、という感じがしました。
 このゲーム、エアリーが悪役だった、というのはまどかマギカのキューべえを彷彿とさせました。


私的解釈
 このゲームがなるほど、良作だと思ったのは、きちんと謎、文学用語ではテクストの空白を残してくれたから。私が先日公開されたジブリ映画『思い出のマーニー』を酷評する理由は、あの作品には謎、空白がないからです。謎解きを作品内で全部してしまう。そうすると、それはミステリー小説になってしまうわけです。最後に犯人はこの人でした、というネタバラシがある。しかし、ネタバラシをしてもらっては、作品を読む側としてはこちらが入り込む余地がないので、ああそうだったんだ、で終わってしまうのです。

 この作品は、勇猛果敢にも「並行世界」という概念を取り出してきました。
 H・Gウェルズの『タイムトラベラー』以降、時間をめぐったものの派生として、並行世界という概念も生まれてきたようですが、この諸概念は、確かにおもしろく謎がある一面、ひとつ取り扱いを間違えると痛い目に合うのです。下手に並行世界やタイムマシンの概念を作品内に取り込んだために失敗してきた作品を沢山みてきました。
 ですから、並行世界なら並行世界だけをその作品のなかできちんと扱うという覚悟がなければ使用してはならない、そういうリスキーなものだというのが私のなかにあります。なのでよく作品を鑑賞している時に、並行世界とか、時間を自由に行き来するなんて場面があると、私はいつもこの作品は大コケしないかな?と心配になるものです。
 この作品は並行世界という概念が出てくるのが随分後になってからだったので、かなり心配しました。並行世界なんて概念を出してきて、一体どうやって収集をつけるきだろうと、あせりました。が、この作品はそれを上手くまとめられていたと思います。

 私のなかでいくつか謎として残っていたものの解釈をしていきます。
大穴の謎
 まずあの大穴。あれはホーリーピラーだろうと私は思います。オープニングの大穴が開いた瞬間、白い閃光が立ち上りますが、あれがホーリーピラーだったのではないかと思うわけです。あの大穴を通ることによって他の世界に戻ることができるということからも、おそらくこの解釈はあながち的外れではないだろうと思います。もうすでに言っている方がいるでしょう。影響されるのであまりそういうのは見ないのですが(これは本当は不勉強)。

ティズの最後
 真終章を終えてエンディングを見ると、最後の最後に、ティズは「借りたものを返さなければ」などといって墓地のところへ行き、おそらく死にます。
 ティズは召喚士メイフェアとの戦いから、別の魂が入っているとか、ウロボロスには神界のものが入っているとか言われます。そうすると、おそらくこの神界というのが今私たちが生きているこの世界のことだろうという予想もつきます。
一番最初にエアリーの姉とおぼしき妖精に導かれてゲームを始めます。DSのカメラを駆使したイベントに、なかなか新鮮でおもしろいなと思ったものですが、これも単なる娯楽だけではなくて、きちんと意味があるのです。現実世界からゲームの世界に入る。まさしくロールプレイングですから、自分の分身を動かす、のですが、この作品ではそこにまで作品内で言及している。そうした批評性がすばらしいと思います。この世界は今プレイをしているあなたたちの世界とどういう関係にあるのか、そういうことを作品内で言及できたのはかなりの力量です。
 おそらく私たちがプレイした世界のティズは死んでいるのでしょう。それをエアリーの姉がなにか工作をして、私たち現実世界のプレイヤーにティズの肉体を貸し与えた。あの世界のティズにとっては、私達の魂を借り受けたということになるのだから、すべてが終わったら返さなければならない。私達プレイヤーはあの物語の世界から終わって、現実世界に戻らなければならない。ある意味その仮構と現実の境界線をシビアに描いた作品とも言えるでしょう。
 仮構と現実がどんどん接近していっている現代。人々はコスプレをしてなりたい自分に即席でなれる時代。しかし、その境界線がどんどん崩壊していくなかで、人間は壊れて行かないか?そこまで読み取るのはこちらの勝手ですが、この作品が現実世界とはここで切れるんだよ、という物語に入り口と出口がある構造には感動しました。

 そうすると神界とは私達が住んでいる現実であり、ウロボロスはありとあらゆるRPGの世界を貫いて渡したちの世界に干渉しようとしていた、ということになります。そうするとぐっと仮構だ、フィクションだと安心しきっていたプレイヤーはドキっとするわけです。
 もちろんこれはフィクションだってわかっていても、例えばテレビから、「今私のことを見ている君」なんて声をかけられるのと一緒で、一瞬どきっとするのです。

終わりに
 キャラクターの造形や、ストーリーの単調さ、次にやるべき行動がすべて示されてしまっている、などの欠点とも言える点はいくらでも指摘できます。が、それを指摘した上でも、「並行世界」という概念を上手く使いこなし、現実世界と虚構の世界というそれぞれの世界を明確に批判していったその力と批判性は高く評価されるべきだろうと思います。
 単純に戦闘はどうだとか、ストーリーはどうだ、という批評ならゲーマーならだれでもできます。が、こういう批評ができるのは、文學畑の私ならではなのではないでしょうか。

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