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『未来世紀ブラジル』 感想とレビュー への微視的ノート

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はじめに
 『未来世紀ブラジル』というとても不思議な映画を見たので、なんとかその際に感じたことを文章に残しておこうと思います。見たこともない人のために、Wikipediaから概要を。
 『未来世紀ブラジル』(原題: Brazil)は、1985年公開のSF映画。監督はモンティ・パイソンメンバーのテリー・ギリアムで、情報統制がなされた「20世紀のどこかの国」の暗黒社会を舞台としている。カルト映画として一部の人間の強い支持を受けている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%AB
 『未来世紀ブラジル』はあまりにもセンセーショナルな映画だったということもあり、様々な伝説が残っています。私も映画をいくつか見るようになってから、これだけは見ておいた方が良いといったランキングをチェックしては少しずつ鑑賞していますが、この映画はとりわけ映画ファンのなかでの支持が強いです。
 映画好きでなくとも、「ブラジルの水彩画(原題:Aquarela do Brasil)」という曲を聞いたことがある人は多いでしょう。Ary Barroso作曲の歌でジャズの有名なナンバーです。



 この曲はディズニーのアニメーションでも使用されました。この曲はすでに1940年代ごろには、世界的に有名な曲となっていたのです。『未来世紀ブラジル』でメインテーマとして起用されたことによって、ふたたび注目されます。この映画は内容もかなり刺激的でそれだけで印象強いですが、なかでも何度も流れてくるこの特徴的なメロディーが頭に焼き付けられます。
 この楽曲のみだと、いかにも陽気な雰囲気がしますが、映画の内容はこの曲から受けるイメージとはとてもかけ離れています。

 はっきり言って、作品解釈が専門の私もこの映画ほど意味がわからなかった映画はありません。本当に意味がわからない。なんども記事にするのはやめようと思いました。これを仮に読んでくれた人がいたとして、その人の時間を無駄にすることしかできなさそうだったからです。
 それに、この映画に関しては、私よりもすばらしい分析、考察をした記事がいくつもアップロードされています。
http://www3.ocn.ne.jp/~zip2000/brazil.htm
http://karasmoker.exblog.jp/9663673/
 なかでもこの二つのサイトの記事はすばらしいかったです。もうこれ以上特に私が差し挟めることはありませんが。

 この映画が風刺的な作品であるということは誰にでもわかります。システムや管理社会への風刺です。それに対する羽を持って空を飛ぶ夢が象徴しているのは、もちろん「自由」でしょう。夢のなかのサムは自由の象徴である美女を救う騎士。自由の守護者といったところでしょうか。その「自由」の象徴である美女を拘束し、地に貶めるのは、様々なエゴをもった人間たちということでしょう。
 他に言えることと言えば、現実と夢の世界と表現できるでしょう。前半では夢と現実は比較的きっちりと別れていましたが、終盤になると夢と現実が入り混じってきて、どちらが夢なのか、現実なのかわからなくなってきます。テリー・ギリアム監督の他作品を鑑賞したことがないのでなんとも言えませんが、この監督の作品は現実と夢が入り混じる表現を得意としているようです。
 ただ、夢と現実というとあまりにも簡単な分析になりすぎているのではないかと私は思います。全く意味がわからなかったので、DVDに収録されていた30分ほど(だったと思います)のメーキングを見たのですが、出演者たちが口にするのは、「夢と現実ではなくて、夢と嫌な夢だ」ということです。この「夢と嫌な夢」を描いているのだという言葉もわかったようでわからない。
 この映画はラストの解釈がわかれます。様々な問題を起こして管理社会に対して甚大な被害を与えたとして、サムは知人でもある脳科学者に尋問されます。そこから夢が始まります。サムがいざ脳をこじ開けられようとするところに、映画の中盤からちょくちょく登場してきた、反社会的な作業員であるタトルが仲間を引き連れて颯爽と登場します。そこから逃走劇が始まるわけです。最後に、やっと夢のなかに登場していたトラック運転手のジルと逃げ切るということになります。ただ、そこで終わってくれれば感動的なラストになったものを、そうはさせないのが、このテリー・ギリアムという巨匠なのでしょう。ぱっと画面が変わって、映し出されたのは拷問をする場所。なんと、サムは拷問の辛さのあまり現実を逃避して、自分の脳内で夢を描いていたというオチになっているのです。
 この後味の悪さといったらありません。思わず私も唸ってしまいました。結局誰も救われないのです。

 ただ、この「夢と嫌な夢」という出演者が感じた言葉をよくよく考えてみる必要があると思います。この巨匠のつくった作品は、おそらく夢と現実という簡単な解釈のしかたではできないでしょう。サムが一連の出来事によって拷問に至った映画本編の現実と考えられていることもまた、ある意味では夢なのです。映画『インセプション』が公開されて、夢と現実という簡単な分け方から、夢のなかの夢という複雑な構造を提示してくれたのはとてもいいことだったと思います。 『未来世紀ブラジル』にも本当は現実なんてないのではないかということも考えねばなりません。こんなことを言えば、フィクションですし、SFですから、元も子もないことになっていまいますが・・・。しかしいくらフィクションの中だからといって、フィクションの中にもフィクションの中なりの夢があるはずです。
 
 この映画は賛否両論に激しくわかれるようです。好きな人は大好き。絶賛の嵐です。それに対して嫌な人は嫌。私はまだ迷っています。この映画を見ていて、そうだよなと感心した自分もいて、すごい映画だなと感心した私がいました。と同時に、救われないラストや日本の能の仮面を被った恐ろしい描写など、人間の恐怖や心の闇をつついてくる描写が多々あって、不快に感じたことも確かです。好き嫌いという一番単純な分け方をしても、どちらとも言えないのが私の心境です。

 すみませんが、この映画だけはどうにもうまく論じられません。普段だと、書いている途中でだんだん、あ、あれも書こう、そういえばこんなことが言えるなと、新しい気づきがあるのですが、この映画だけは私もよくわかりません。まあ、是非見てください。そして感想をお聞かせください。

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No title

私たちの間では、
これを見たという人に
次はジャンピングジャックフラッシュを見てごらん
とすすめるのがはやりました。

Re: No title

かまど猫さん、勉強になります。ありがとうございます。是非見てみます。

Brazil

こんにちは。
"Brazil" は、いま日本が向かっている世界を先取りしていたような印象です。映像も含めてかなりのインパクトがありますね。
本質的には、キューブリックの「2010年宇宙の旅」に通ずると思います。

Re: Brazil

yokoblueplanet様、コメントありがとうございます。
確かに日本だけでなくちょっと先の未来はこうなってしまいそうで怖いですね。
「2010年宇宙の旅」に通ずるものがあるというのは、かなり深い考察のようです。私も考えてみたいと思います。

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