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斉藤孝「読書力」を読んで ② 感想

斉藤孝『読書力』を読んで 感想
 この本を読んだとき、書かれてあることがいちいち私がずっと考えていたことだったので、しまった先を越された!あと十年くらいしたら書いてやろうと思っていたのにととても悔しい想いをした。
 最初に斉藤先生が「本を読む読まないは自由」かという問いを発しているところに先ず感銘を受けた。斉藤先生はすぐに読まないという自由はないと断定していたので大変驚いた。私は思想上、リベラルに近いものに寄りつつあると感じている。言語論的転回後の、多様性の世界だ。リベラルの人間が陥るジレンマは、多様性が良いという前提を、一義的普遍的価値観をもった人間に強制できない点である。だから、私も多様性、多義性が重要だと思っている反面、その思想上、何かを盲目的に信じる人間に対してもそれを認めなければならないため本当は多義的なほうが、多様的な方が良いのになと指導できないのである。私のような人間にこんな偉そうに指導されてもらっては、多くの人間が困るかもしれないが、しかし実際教員になったら指導せざるを得ないのだから、身をわきまえつつ指導しなければならない。とすると、多義性多様性を重視する人間は、その多義性多様性を指導することができるのかというのが最大の謎になるわけなのだが、斉藤先生はこの部分をかなり破壊的に、「百パーセント読書をしなければ駄目だと考えている」と述べている。少し主張が強すぎる気がするが、この点に関しては全く同意だ。しかしどうしても強すぎる気がするので、私は「読書をしなくても良いが、その結果生じる損は自分で負わなければならない」くらいにしておきたい。
 私は、この本で言う「文庫百冊、新書五十冊」は当にクリアした人間である。ここらへん多少自負を有している。他人より読んでいることは私の一つの自信にもなっている。ところが、やはり、様々な大人と会話する機会があるが、読書家というものはいるもので、全然私の読書の量の比ではないことが時に察せられる。すると、このままではとてもじゃないが、駄目だ。若い人間の中でかなり読んでいると自負している私でさえもが、こんなものなのだから、とても先人たちには勝てないと思う。私は私で一人で勝手に本を読んで居ればいいのであるが、しかし、ふと周りを見渡した時に、私の友人たち、あろうことか文学を専門とする国文学の生徒たちでさえも、碌に本を読んでいない状況なのだ。斉藤先生がこの本で極めて危機感を持って、かなり激しい言葉遣いをしている理由がわかる。私はもういくら友人たちに本を読めといっても、とても聞く耳を持たないので絶望していたところであった。
私は昔から同世代の友達よりも、先生などの大人と話していることの方が楽しかったり、また多かった。そのため考え方も少しは上の世代に近いのかもしれない。この本では「恥」についての言及があった。斉藤先生に限らず、多くの大人や教授の話を聞いていると、「あれには~と書いてあったね。ところで君はあれを読んだね?」「もちろん」なんて言って、急いで帰りに買うなり借りるなりして本を読むというようなエピソードに触れることがある。確かに少し衒学的で嫌なヤツという感は否めないが、しかし全体が全体でそうやってお互いに教養を高め合っていた時代があるらしい。私は若いのでわからない。
 私も本当にそういう時代に生まれたかったと思う。高校までは本を読んでもその本を話し合う相手が居なかった。父が読書家だったので、父と少し。それから国語の先生と少し話す程度だった。他の学友が何をやっていたのかというと、ケータイにゲームにパソコンである。私はずっと話が通じないという思いを抱いてきた。それで、流石に国文学をやる学科なのだから、日本中から本読みが集まっているだろうと思って大学へ入ったものの、周りの人間が全然本を読んで居なくて失望した。理想と現実の乖離から、多少精神的に病んだ時期もあったが、今は比較的安定している。中には国文科に入ってから、自分はあまり読んでいなかったから少し頑張ってみようという友人もいて、少しは救われた気分になった。しかし、国文科の多くの人間が碌に漱石も読んでいないこの状況は、私はある意味病気だと思う。
 本当に同世代として、今の若者の精神的な価値観の状況は悲惨なものだと思う。確かにハードカバー本は高い。これは私でも高いと思う。だが、文庫本の七、八百円に金を出すのを渋っているようでは、日本も終わりだと思う。他にも私は芸術やら観劇やらが好きでよく見に行くのだが、学生がやっているために破格の値段(二千円くらい)で演奏をやるというのに、高いから行かないといったことを言う友人がいる。それでいて洋服やら、ケータイやらに月何万も支払っているのだから、何とも形容しがたい。要は、文学をやる国文科の人間でさえ、本や芸術に金を出すことを惜しむのである。本も芸術もお金を支払う価値のあるものではないと思っているのだろう。これが日本の現状である。斉藤先生は年に10冊くらいしか読まないなんて大変なことだと言っていた。私もそう思うが、斉藤先生はまだまだ認識が甘い。最近の学生は年に10冊なんて言ったら、きっと目を向いて「そんなに読めるものか」と言うだろう。現状はこのくらいシビアなものだ。少なくとも私の周りはそうだった。

 私は大体年間100冊は読む。しかし、私も偉いことを言えた立場ではない。高校生までは他の学生と同じく、年間10冊も読まなかった。ところが、高校に入ってから漱石と出会い、感激してその後ずっと読書三昧の年月がつづいている。
 今回はどのような指導方法があるかということで読んだ。読書内容のテストは非常に素晴らしいアイデアだと思ったので、教員になったら是非利用したいと思う。私の描いているビジョンは、斉藤先生の言う、読書内容テストを50。受験用の論文問題を50。更に読書感想文やエッセイ、小説なり書いたものがあれば原稿用紙の枚数と内容を加味して、平常点を最大30点くらいまではつけたいと思う。なので130点満点だ。これを100点に換算するか、あるいは試験100点にプラスして平常点を別途付加するかにしたい。
 面白かったので、他の著作も読んでみようと思いちくまプリマー新書の『読み上手 書き上手』という本を読んでみた。ここでも3色ボールペンなど、斉藤先生が考案したいくつかの指導方法が書かれている。大分同じ内容が書かれているが、この本には今回読んだ『読書力』に書かれていなかった「書く」方面についても書かれていた。
私は読むと同時に書くことが非常に重要だと思っている。私は高校で読書中毒になる前は、読書感想文は悪魔と思っていた。原稿用紙三枚書くのに1日費やしても書けなかった。そのくらい書けなかったのである。ところが、読書を沢山するようになってから、何かしら自分も書きたいと思うようになった。ところが、突然かけるわけもなく、挫折感を味わった。悔しかったので、私は大学へ入ってから時間に余裕ができたので、自分のブログを創ってみた。様々な本や、観劇に行った際の感想文を書いて、文章力を鍛えようと思ったのである。大抵のことは三日坊主だった私だが、このことに関しては何故か二年間、今まで続いている。

 二年間、ほぼ毎日といっていいくらい(記事の数を数えると三日に一つくらいになるが)書き続けた。最初は読んだ本の感想や、自分の好きな音楽の紹介くらいだったものが、次第に深い考察までできるようになってきた。最初は一時間で2000字も書ければいい方だったのが、今では一時間もあれば4000字くらいは楽に書ける。文章の修行をする前と比べると、思考も早くなってきたし、タイプの速さも早くなったし、何よりも論理力が鍛えられたと自負している。勿論、多少慌てている部分があるから、駄文が続いたり、まとまっていないという点があることは重々承知である。今のところは先ず書くということを行ってきただけなので、これからまとめたり、省略したり、簡略化したりといった削りの部分を磨いていきたい。記事の総文字数はすでに百万字を越えている。正確に測れないのだが恐らく二百万字は越えているだろう(百万字までは一生懸命数えていた)。
四千字の課題が出ると、多くの生徒は「え~」となるが、私にとっては日常茶飯事のことである。特に苦痛でもない。むしろ楽しい。私はこのように、文章嫌いの人間でもここまでは何とかなるということを身を持って知ったので、是非とも生徒に文章を読むこと、書くことの両方を行わせたいと思っている。
 とにもかくにも読ませることが先ず大切だ。全てはそこからだと思う。『読書力』か『読み上手 書き上手』だか忘れてしまったのだが、こんなことが書かれてあった。それは授業のはじめ、五分でいいので今読んでいる本の紹介を先生がすること。当然である。私は絶対にこれをしようと思っている。いくら先生が読め読めと言ったって、先生が読んでいないのではどうしようもない。内田樹の『先生はえらい』(ちくまプリマー新書)の教育観からすれば、先生は生徒にはとても追いつけないと思わせるくらいの力を示しても良いものらしい。なので、どうだ、生徒諸君、君たちに僕の読書力を抜けるかなというくらいの意気込みで、今日はこれを読んだ、昨日はこれを読んだと、沢山の本を紹介するつもりである。全員を全員読書家にするのは難しいだろうが、少なくともそれで食いついてくる生徒がいることを期待したい。

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悔しい思いと「なるほど」という思い

>しまった先を越された!あと十年くらいしたら書いてやろうと思っていたのにととても悔しい想いをした。

「なるほど」と思います。同じ考えの人はいるという事ですよね。

私は様々なブログを読んで教えられることが多々あるのですが、自分と同じ考えの人に出逢うと心強くもなります。

ブログを参考にさせて貰います。ありがとうございました。
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