スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

斉藤孝「読書力」を読んで ① 内容のまとめ

takashisaitoh-01.jpg

げ、ついに広告が出るまで放っておいてしまいました。すみません。まる一カ月更新がなかったなんてブログ始めてからなかったことです。生きてますよ。京都や神津島に行ったりして青春の日々送っております。今回は斉藤孝先生の『読書力』をすばらしいので、内容のまとめと、感想に分けて記事にします。

指導方法
 多義性が重視されるなか、果たして本を読まないという選択肢があるのだろうか、作者はそこから問いを発している。筆者はその問いに対しては否。いくら多様化が求められようと読書をしない選択肢というものはあってはならないと結論づけている。続いて著者は最低読まなければならない読書量というものを提示する。それは「文庫百冊・新書五十冊」だ。
 筆者が本編で繰り返し述べているのは、本を読む必要性とともに、本を自分の身銭を切って購入することである。良い読書は、講演会や授業よりも優ることがあり、先達のすばらしい知恵を教えていただけるのにワンコイン程度で済むのは非常にパフォーマンスコストが良いと述べている。
 さて、では本をどのように読んだら良いのか。読んだあとに読書を指導する人間は、要約力を鍛えるようにするべきだと氏は述べている。重要な部分に線を引かせたり、要約を喋らせてみたりする読書力検定といったものを導入してはどうかと提案している。昨今は朝読書などが大分浸透してきた。このため何とか若者の活字離れは多少は回復したものの、いまだ深刻な状態に変わりはない。そこで、筆者は定期試験に読書問題を組み込むことを提案している。
 さて、「なぜ本を読まなければならないのか」と質問してくるものが居た場合どう答えたらよいだろうか。それは、「自分をつくる最良の方法だからだ」と筆者は言う。日本には、聖書のようなthe Book が存在しなかった。そのため、これだけを読んでおけば良いというものがなかったのである。そのため、多くの幅広い読書が必要になり、そのなかには互いに相反する内容の価値観と出会う事になる。そのなかで、各人が自分の価値観を見出していく、そのプロセスが必要なのである。ところが、the Bookを持たない日本人が、そのような常に幅広い分野の本を広く深く読むことを辞めるとどうなるか。その結果が現在の自己形成の問題に如実に表れているという。筆者がまだ子供時代のころには、基本的な本を読んでいないことは恥ずかしいという意識が学生同士の間にあった。家には百科事典のセットがあり、幅広い知識教養を身に付けていることがステータスとなっていたのだ。ところが、現在の若者の間では、特に何かを知らないという事に恥をもつことはない。欧米の大学生と比べてもはるかに読書水準が下がってしまい、このままでは日本人の読書によって鍛えられてきた様々な能力が衰えていくばかりである。
 筆者はこのインターネット隆盛の時代に、「一人になる」時間の楽しさを知るべきだと述べる。もちろん音楽や美術でもいいのだが、とりわけ読書は自分自身と向き合うことになる。自分と向き合うのは非常に辛いことである。一つには技術的に、自分で自分を見つめるということが難しいことだという点もあるし、また精神的にこのままの自分で良いのかと自問することは過去の自分を否定することにつながるので、辛いということもある。そこで読書は、他者との対話を通じて自己の内面を見ることができる良い機会となる。
 筆者は本を購入しろと強く主張するが、それと同時に本を自分のものにしていくこと、それから自分の本棚を持つべきだと述べている。「本棚と見ればその人がわかる」とここには書かれている。その人間がどのような分野の本を読んできたかを見れば、本人に聞くよりも深く知ることができる部分があるのだ。本棚を自分で購入した本で満たすことは、自信にもつながるし、その行為そのものが自分をつくることを具現化したことである。ここで、一つ自分のマップを作るのと並行して、大きなマップに眼を通すことも重要である。それは、すなわち図書館を活用することだ。できるだけ本は自分で購入した方が良い。だが、図書館では、あるジャンル、ある分野の本がよく整理されて並べられているから、そこにある本を見て、把握することが大きな読書のマップになる。大きなマップを自分のなかに取り言えることによって、数多くある本のなかで自分がどこにいるのか、何を読みたいのか迷わないようにしたい。
 読書と経験という最も対比させやすい二項対立について筆者は、この二つは両極に存在する価値ではなくて並立するものだという意見を述べている。本を読むことは一つの自己肯定につながる。そこでは、自分がなんとなく思っていたことをきちんと理論整然と書いてくれた先人と出会うかもしれないし、自分と同じ考えを先人が書いてくれることによって自分が間違っていなかったのだという肯定も生まれる。あるいは、自分が経験したことが、本のなかでも書かれていて、あの経験はこういう意味があったのかと納得することもできる。または本で読んだことが先で、後になって本に書かれていたことを体験し、これがあのことだったのかと認識することもある。であるから、経験が大事だと主張することは、読書を否定するのではなくて、むしろ読書も勧めることになる。読書嫌いの人間は、自分の体験や経験を絶対の根拠としたがる傾向があるので、そうした狭い了見に陥らないようにできるだけ幅広く読書をするべきである。その際、わからなくてもなんとか耐えるということが必要である。むしろ自分がわかる簡単なものばかり読んでいてもそこには成長はあまり見られないだろう。わからない、難しい内容の本をじっくりと耐えて読む。このことによって、忍耐力も鍛えられれば、思考においての溜めができる。「やさしく書けないのは、筆者が本当はわかっていないからだ」といった聞いたような論を悪用してはならない。多くの人間はそれを悪用して自分の読解力や知識のレベルを上げる努力を怠るからだ。この「溜め」がばねになり、その後の思考の跳躍への力となるのである。

 筆者は読書はスポーツであるとし、読書部というようなものも作ってみてはいいのではないかと冗談まじりに主張している。読書も通常のスポーツ同様、基礎トレーニングが必要であるから、日々読書をしなければならない。
幼い子供には特に、読み聞かせをするべきである。本著ではクシュラという障害を負った子供の体験をもとにして、読み聞かせがいかに人間の精神を豊かにするのかということが語られている。日本では宮沢賢治が素晴らしい作品として読み聞かせに向いている。また、何も子供に読むだけではない。自分で声に出して読むことも重要なのだ。声に出して読めば、読めない漢字は必然的に辞書を引いて覚えるようになるし、また声に出して読むと脳が活性化しやすいこともわかっている。内容もより深まって理解することができるようになるのだ。また、音読は読書力の判定にもつながる。筆者は大学生に日本語を朗読させたことがあるそうだが、ずいぶん突っかかったり読み間違えたりしたという。これはつまり読書力がなく、本をあまり読めていないということだ。速読と音読を繰り返すことによって、すらすらと読めるようになる。なぜなら文章がすっと頭の中に入ってきて、どこで区切れるのかといった内容を掴むことができるからだ。
 次に線を引きながら読むことを筆者は提案する。有名な三色ボールペンだ。音読も重要であるが、いちいち音読していてはドストエフスキーのような本は流石に読めない。だけれども、ただ目で追っていると、内容が頭に入ってこなかったり、読みの集中力が途切れたりする。そこで、線を引きながら読むといい。線を引くのには勇気がいる。自分自身の価値観や判断がそこに現れしるしとして残ってしまうからだ。的外れな部分を引いてしまったら恥ずかしい。だが、線を引かない本というのは、何の記号もない地図と同じなのだ。どこが重要なのかもわからない。旅行に地図を持って行けば、帰ってきたときにはその地図は掛け替えのない思い出となるだろう。そこには、自分が宿泊した場所や、行った場所に印が付いているからである。読書も同じだ。本のなかに自分の地図をつくる。そのことが結局、本の理解にもつながるのである。見返す際にも重要な部分をさっと拾うことができる。
三色ボールペンが有効であると筆者は述べる。赤が重要な部分。青が大事な部分。緑は自分が面白いと思った部分、気づきの部分というわけだ。もし、いきなり三色にわけるのが怖かったり、難しかったりすれば一色でもいいと筆者は述べている。この三色を使い分けていくことに慣れると、次第に要約力も身につき、どこが重要なのかという部分もわかってくる。

 読書力で始まった本著であるが、読書は普段の会話にも影響する。本を読んでいる人間とそうでない人間とでは歴然と話すことの内容、話し方に差がつくという。何の脈絡がなく、話題があっちへいったりこっちへいったりする話というのも、仲間内では愉しいことに変わりはないが、終始そのままでいるわけにはいかない。脈絡を捉えて、論理的に展開する。そうした対話力が必要になる。筆者は会話の際には簡易メモを取れと述べている。メモを取っておけば話の脈絡が見えてくるし、相手の思考と自分の思考とをぶつける部分が見えてくる。メモを取る力もまた、普段の読書力からも鍛えられるし、またメモを取り続けることによって当然メモ力自体も上がり、会話がダイナミックになる。
 最近はよく「話すように書け」という論が見られるが、筆者は反対に「書くように話せ」と主張している。また漢語表現も身に付けておくべきだと言う。始終大和言葉で、単語をぽつぽつと交わすような、友人同士の会話がピンポンだとしよう。これはこれで楽しいのでいい。だが、時にはゆるやかなピンポンだけでなく、きちんとした卓球もしなければならない。その時には、漢語表現や文語表現を使用する必要があり、それを普段から鍛えているかどうかが問われることとなる。これからの時代はプレゼンテーションが求められる時代となる。短い時間に濃い内容の話をするためには、どうしても漢語表現や文語表現を使用しなければならなくなる。また短い間にキレのよい論理的な話が求められる。それも読書力を鍛えれば身に付くのである。
 筆者は読書をするうえで、友達同士でもいいので読書会を開くべきだと提案している。かつては読書会などという名前がつかなくても、自然と行われていたことだったのだが、現在ではそうではなくなってしまった。ここではそれぞれが持ち寄った本について話すというタイプのものも考えられる。自分の知らない分野をしるきっかけになるからだ。他にも、本を定めておいてそれについてどう思ったのかを話し合うというタイプもある。この時には、全員が最後まで読んできているということを前提にしないほうがいいと筆者は述べる。本を読み通すのは意外と体力がいるものだ。読書会が閉鎖する原因の多くは、全部読んでいないことによって次第に足が遠のいて、参加人数が減って行ってしまうことである。全部を読んで居なくても、読んだ部分までで自由に話せるタイプの読書会のするほうが良い。
 また二三人の友人との間であれば、マッピング・コミュニケーションをやるのも良い。これは、二人の間にB4ほどの白紙を置き、そこにキーワードを書き込みながら対話するというやりかたである。これを応用すれば、例えばホワイトボードで、小説に登場する人物の関係図を書いたりして認識の共通を図るなどにも利用できる。そして、このマッピングも、できれば三色ボールペンで行った方がメリハリがついてより引き締まった対話になる。話すのが得意な人が沢山話してしまうような読書会では、あまり話すのが得意な人にとってはためにならない。そのような場合は読書会にこのマッピングを組み込んで、数人の人がほぼ同じくらいの話ができるようにするのも効果的である。さらに、読書会で有効なのは、簡単すぎず、難しすぎない読書クイズをつくることだ。これを読書会中にみんなで協力して解くのも良いし、自分で解いてきても良い。このクイズを創る作業もまた楽しみの一つになる。
最後に自分でできる読書トレーニングを紹介する。先ずは本を読んだらとにかく人に話すことだ。本を読んでもその内容をすぐに忘れてしまうということがよくある。だけれども、その本の重要な部分まで忘れてしまうのはせっかくの読書が無駄になってしまう。そのようなことにならないために、読んだ本の内容をできるだけ人に話すと良い。そうすると記憶も定着しやすくなる。他にも、この一文はというものをメモしておくことも有効だ。
 近くに話す友達がいない場合は、気に入った文章をノートに書き写すことが挙げられる。実はこれは読書感想文に非常に役立つものだ。書き写しの時、三色で行うとなお良い。そうして、どうして自分はこの文章を重要だと思ったのか、面白いと思ったのかと、メモをしておければそれだけで立派な文章が出来上がる。それに少し脈絡を付ければ読書感想文に早変わりするわけである。
 氏は本書の最後に「読書トレーナー」という存在が居てもいいという。スポーツにおけるコーチと同様に、読書においても今どのような本を読んだら良いのか、次はどのような本にすべきかということをサポートしてくれる存在だ。読書トレーナーは、ある人物の読書歴を見ただけで、次にどのような本を読むべきかアドバイスできるくらいの読書量は必要になる。全国には読書家の方が沢山いる。幅広い読書をしてきた人なら、この読書トレーナーが務まるであろう。ともかく本を読むきっかけを増やし、読書力を上げらなければならない。また、読書トレーナーとまでいかなくとも、本のプレゼントというものもある。これはプレゼントする側のセンスも求められるし、お互いにいい刺激になる。もちろん友達同士で行っても良いし、恋人同士でもよい。筆者の場合は恩師が、卒業間際に何十冊か教室に持ってきてそのなかから好きに選べと言われた記憶が鮮明に残っているという。ただ、本一冊を読んでもらうのは過剰な願いであるから、例えば一行にだけ付箋を貼っておいてプレゼントするといった手法もある。自分が大切だと思う一行に線を引いてプレゼントする。このようなかなり高度な精神レベルの交流ができるようになれば、読書力が大分身についてきたということができよう。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

幽玄

Author:幽玄

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
156位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
12位
アクセスランキングを見る>>
フリーエリア
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。