雑記、最近行った美術館やコンサートの感想 ~1

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 熱いなか、みなさんいかがお過ごしでしょうか。最近更新が滞り、相済みません。まあ、毎度のことなのですが、体力がないので大分夏バテしてやられております。胃腸の調子が・・・・・・。みなさんもくれぐれも暑さにやられませんようお気を付けください。ちなみに、このバテをなんとか解消しようとして、先日石野のエナジードリンクを考案しました。リンゴ酢大匙壱に、はちみつ大匙弐、それをお好みの濃さになるまで水で割って飲むというものです。これを飲むと、少しは元気になりなんとかなっています。おすすめします。
 昔は熱心に、一つの美術館展に行ったら、それに対する感想文をずいぶん長く書いたものですが、最近はちょっと他にもやることがあるので、軽く、エッセイ風に書きたいと思います。
 いまだに疑われている節がありますが、私は大学生ですので、先日やっと夏休みになりました。7月中は、通年科目だけなのですが、けっこう頑張って試験をやってしまう教授が多かったもので、最後の最後まで気が抜けない状況が続いておりましたので、やっと息を抜ける状態になりました。

 ここ一カ月、結構美術館などの文化的な行事に多く行ってきたものですから、その感想を書きたいと思います。
一つ目は「夏目漱石の美術世界展」
 私は一応近現代の文学が専門でして、なかでも漱石を専門に研究しています。漱石の作品には、高校の時にはまったく読み飛ばしていましたが、かなりの美術品が登場します。大学になり、美術館に良く行くようになってから再び読み返すと、漱石の美術への造詣の深さというものが伺えて来ます。漱石と美術作品は切り離せない仲ですが、そんな漱石が言及している作品を一堂に介したのが、この展覧会です。東京芸術大学のキャンパス内にある美術館で、開催されました。この展覧会は7月7日で終わっています。
 展覧会の内容は、漱石が作品内で言及している作品をできるだけ並べ、漱石がどのような作品を好んだのかがわかるようになっています。また、漱石は留学体験を通じて、フランスのアールヌーヴォーにいたく感銘を受けたようです。漱石自身、弟子や友人に画家や彫刻家が多く、それらの友人に学んだりしてよく絵を描いていたようです。漱石展の後半では、漱石自らが描いた作品が数多く描かれていました。作風は、もっぱら和風で、テンペラをつかったようにはっきりとした色合いを、掛け軸上のものに描くといった感じでした。
 展覧会では、そうした漱石が好んだ作品と、漱石が描いた作品、それから漱石の近辺の人間の作品の大まかにわけて三つの分野がありました。また、後半には、美術にうるさい漱石が自分の本の装丁のために描いた作品も出展してありました。それを見て思ったことは、今の文庫本は並べてみたってちっともその本の味わいというものがありませんが、当時は本自体が一つの作品になっていたのだなということです。現在でも、ハードカバーになるとそれぞれ趣向を凝らしたようなものがありますが、当時は小さな本にも愛情をこめて、作家が一冊一冊世に出していたのだなと思い、これは現代にも復活させるべき価値観なのではないかと思いました。
 この展覧会の最後、私はこれで感極まって涙してしまったのですが、なんと漱石のデスマスクがありました。デスマスクを知らない人に簡単に説明すると(おそらく西洋の文化なのかな?)、死に顔を石膏に写し取ったものです。漱石先生が死んだ際に、弟子の友人が彫刻師で、その人に頼んで型を取り、それをもとに復元したのがデスマスクです。漱石の死に顔の原寸大の像がありました。髭や髪のあとだけでなく、皺までくっきりとよく取れた型でした。意外と漱石は小顔でしたよ。ですが、どうにも五十とは思えない、相当苦労をした顔のように私には感じられました。あと、怖い話ですが、漱石の脳は帝大に保存されているとか・・・・・・


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二つ目は、音楽。〈N響「夏」2013 東京公演〉です。
 私、先日成人を迎えたような若い人間なのにも拘わらず、最近の曲はまったくわからずに、専ら80年代、90年代の曲ばっかりきいているような人間なので、私がコンサートに行くとなった場合はクラシック、コンサートのようなものになってしまいますね。同世代の人間と音楽の話ができなくて少しさびしいのですが、布施明のライブとか行ってしまう人間ですからね・・・・(そういえば、布施さんご結婚おめでとうございます)・・・。
 まあ、今回は父親と二人仲良く鑑賞しに行ったのですが、かなり素晴らしいコンサートでした。
指揮はアンドルー・マンゼ フルートをエマニュエル・パユ
曲目は
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
モーツァルト/フルート協奏曲 第二番 ニ長調 K,314
フォッブス/モーツァルトの「魔笛」による幻想曲
ベートーヴェン/交響曲 第三番 変ホ長調 作品55「英雄」
 いずれも、音楽に素人である私でも知っているような有名な曲ばかりでした。今回は、有名な指揮者、アンドルー・マンゼと、フルート奏者、エマニュエル・パユをN響に招いての公演。
 アンドルー・マンゼは私が今までに見たことのないくらい、情熱的な指揮者でした。特に休憩をはさんだ後、最後の「英雄」では、小一時間、うでをふりふり、体中全体を使って情熱的な指揮を見せてくれました。まだ五十ちょいくらいの方ですが、残念なことにはげてしまっています。その頭をゆでだこのように真っ赤にさせて、ちょっと脳溢血かなにかでぶっ倒れてしまわないかと見ているこちらが心配になるほどの激しさでした。流石に、ナポレオンを讃える曲を演奏するにはこのくらいの覚悟が必要なのでしょうかね。対して、フルート奏者のエマニュエル・パユはどちらかというとエレガントな男性。少々でっぱっているお腹に眼がいきましたが、とても美しいフルートの音色でした。
 私は初めてNHKホールに行ったのですが、会場右にある、日本でも有数のパイプオルガンがすごかったです。是非今度はパイプオルガンが使用される時にも行きたいなと思いました。私はミッション系の学校を出ているので、讃美歌などに詳しいのです。ですから、パイプオルガンの演奏には結構詳しいのですが、あんな大きなものはそうありません。あのパイプオルガンが鳴ったらどのような音を出すのかと想像したら興奮しました。
 帰りは、渋谷で父と仲良くお食事を。くじらを食わせる店と台湾料理とどちらがいいかということで、台湾料理の店に行ってきました。父が若い頃に来たということですから、何十年ぶり。しじみを食わせる店で、なかなかおいしかったですよ。少々高かったですがね。麗郷(レイキョウ)というお店です。


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三つめは「レオ・レオニ 絵本のしごと」展。
 渋谷Bunkamuraで開催されました。この展覧会ももう終了してしまい、今現在はたしかレオナール・フジタの展覧会になっていると思います。
 レオ・レオニは皆さんも小学校のころ読んだことがあるであろう、「スイミー」を書いた人です。文も絵も両方レオニの作です。日本ではそれを谷川俊太郎が訳したものが教科書に掲載されています。ちなみに、レオニの作品はそのほかも多くが谷川俊太郎の訳で翻訳されています。すばらしい日本語です。
 みんなが赤い魚のなか、一匹だけ黒く産まれてきてしまったスイミーという魚がいて、それが食べられてしまった話・・・うそです。鮫かなにかに襲われた時に、黒いスイミーが目の部分になり、群れで一つの大きな魚にばけて敵を追い払ったという感動的な話ですね。
 レオ・レオニは、1910年オランダ生まれですが、イタリアで第二次未来運動に参加、その後39年にはアメリカに亡命と、どこの作家とは言えないような様々な国の文化の影響を受けている作家です。画家でもあり、彫刻家でもあり、絵本作家でもあります。展覧会では、彼が描いた絵本の原画の多くが展示されていた他、絵画や彫刻作品も数点展示されていました。
 彼の絵本に共通する内容は、いずれも個性というものを描いているという点です。花を持ち、半目でこちらを眺めているフレデリックというネズミのキャラクターを彼は愛しましたが、そのフレデリックの話というのがとても面白い。アリとキリギリスの話に似ているのですが、キリギリス側のフレデリックは、皆が冬に備えている間に、実は言葉を集めていたということで、食料が尽きてから詩人フレデリックがみんなの心を豊かにしたという、アリとキリギリスの反対の話になっているのです。
 レオ・レオニは非常に人生のなかで、芸術家になるまで、なってからも苦労した人間で、社会における芸術家の意味、みんなと違う個性の重要さといったものを常にテーマとしています。スイミーも、みんなと違う魚のことを描いていますね。この展覧会では、今日本人が危機に直面している個性というものを考えさせられたと思います。
この展覧会は絵本がメインということもあり、美術館にはありえないほど子供がたくさんいました。途中、展覧室の真ん中には、絵本が集められており、そこには子供がたくさん!一生懸命絵本を読んでいる子や、走り回っている子など、ずいぶん活気にあふれた美術展でしたよ。こういう美術展も時にはいいものです。で、せっかくなので、夏休みに入っているということもあり、私は小6の妹とその友達の女の子も一緒初に連れて行ったのですが、小学校六年生でもずいぶん楽しめたようです。
 小6の彼女たちがわかっているかどうかは微妙ですが、レオ・レオニの絵本には、大人になった私からみると、かなりアイロニーというものが込められているのではないかなと感じました。ネズミのフレデリックにせよ、芸術を理解できない大衆に対して、どこか高みからふっと笑っているような、達観した部分があるように感じられます。そうした部分をレオニは一寸皮肉を込めて描いたんだなと感動しました。フレデリックの大衆を少し馬鹿にしたキーホルダーを付けて、私も今少し馬鹿にしつつ外出しています。お気に入りのマスコットキーホルダーです。

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はじめまして

麗郷懐かしいです。で、コメントしたくなりました。
小6の妹さんがいらっしゃる。はあー!大学生さん。はあー!
趣味がおっさんで驚きです。でも、いいセンスしてると思います。
漱石、私、好きです。

おはようございます

心がすさんだ時に夏目漱石を読みます。

なんでもいいんですが、本棚から何気なく一冊抜き取って、テキトウなページを・・・。

文章が艶を帯びていて、潤してくれるように感じるんです。

Re: はじめまして

コメントありがとうございます。
麗郷が通じるとは、なかなかの飲み通ですね!?
ええ、ええ、友人とは話が合わずに辛い思いをしてきました。精神年齢四十代くらいの大学生です。
漱石は日本人ならだれもが好きですからね。美術展も、もう漱石ファンであふれてて大変でした。

Re: おはようございます

コメントありがとうございます。イーグルス16さんは素晴らしい本の読み方を御存じですね。
ふと、ある頁を開いてみて読むという読み方、漱石の『草枕』で主人公が那美さんに対して同じようなことを言っています。そのようなことを書いている漱石ですから、きっとどこから読まれてもいいように書いているのだと思います。
漱石、すばらしいですよね。私は早く漱石が一万円札に復活・並びに昇格しないかと願っております。最近の若い人たち、といっても同じ学生です、が漱石を読まなくて悲しいです。
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