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ゲーム『俺の屍を越えてゆけ』考察 ~6~ 感想とレビュー 最後に

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-最後に、胎内回帰と近親の戦い-
生命というテーマから翻って、最終的に私はこの作品は胎内回帰願望の物語として読めると解釈しました。黄川人が京の人間と神々に対して飽くまでも復讐することにこだわり続けた原因、あるいは要因はなんなのかということを考えてみますと、その原動力は自分が帰るところであった母を取り上げられた、殺されたということになると思います。
黄川人が母であるお業と離ればなれにならなければならなかったのは、まだ赤ちゃんのころです。ですから、彼は最後まで母親の愛情というものに触れることができなかったのです。ですから、心理学のエリクソンのライフサイクルを参考に考えれば、黄川人は人生の一定の時期に克服すべき課題を、両親の愛情が受けられず、あまりの不遇によってすべて達成できなかったということになります。乳児期においては不信感を獲得、幼児前期では恥辱感を獲得、幼児後期では罪悪感、児童期では劣等感などです。
黄川人が中性的なすがたのままであったのも、自分のあらゆるものを受け入れられず、自己を男性として認めることがないままであったからだと考えることもできます。

彼の復讐の動機は、常に母の愛情と、このあまりにもひどい運命のために現実逃避をし、最も安心できた場所と空間である母親の胎内に回帰したいという願望によるものなのです。ですから、最後のボス戦で、黄川人がお輪の胎内に入るというかなりえげつない行為にでるのも、自分の生命が究極的に脅かされた状況のために、最も実現したかったことを行動したということになります。もともとお輪とお業は双子ですから、自分の伯母にあたるお輪の胎内に入るということは、かなり近似的な胎内回帰をなし得たということになります。
お輪と黄川人の最終形態を討伐した際、黄川人が赤ちゃんの姿で復活しているのは、一つには討伐されることによって、今までの恨みや辛みを晴らす前の状態まで戻ったというようにも解釈できますし、直前に自分の母に近い人間の胎内回帰をしたので、自分の願望が満たされてなんの穢れもない状態まで戻ったと考えることもできます。

また、黄川人とのあまり関わり合いのないボスの存在などを考えると、近しい血縁での憎しみあいというテーマも浮上してくると私は思います。崇良親王は、ゲーム内時間の京より、およそ100年前の帝の時代の話です。その崇良親王と黄川人とは全く直接的な関係はありません。しいて関係性を求めるとしたら、おなじ皇族たる身分で生まれたということくらいでしょうか。
この作品に崇良親王という存在が登場するのは、彼が彼の兄の妬みによって殺されたからにほかなりません。近親によって殺されたという不幸が、彼を悪霊足らしめているのです。
この作品は、最後の場面で、今までに登場した鬼たちがどうしてあんなに強かったのかという謎解きが黄川人によってなされます。朱点童子以前に登場した鬼たちがどこから湧いて出て来たのかはわかりませんが、お輪が捉えられてからは、おそらく黄川人によってお輪は鬼たちを孕まされていたということになります。大変恐ろしいことではありますが、黄川人のこの行為は、胎内回帰願望をかなりゆがめた形で表出させていると考えることもできますし、また母犯し、近親相姦の禁と捉えることによって、近親での憎しみ合いという側面も現れてきます。
この物語は、見方によっては黄川人と昼子の壮絶な兄弟げんかと考えることもできると以前述べました。また、主人公初代当主は黄川人とは従兄弟にあたります。従兄弟同士の戦いと考えることもできます。あるいは、黄川人討伐までに行く手を阻んだ鬼たちは、お輪が生んだ鬼たちであり、異父兄弟の戦いと解釈することもできるのです。いずれをとっても、戦う相手はかなり近しい関係の存在であり、近親による悲しい悲劇の連鎖を映し出した作品とも考えることができます。
そうすると、もちろんこのゲームは1000年ほど前の京を舞台としたために、そうした歴史的背景による影響を受けていることは重々承知ですが、現代の家族の問題にも言及しているように思えてなりません。一方で、家族の繋がり、一族というものがテーマ化されるなかで、他方では戦い続けている相手もまた家族と言える関係であるという二面性があります。この二面性こそ、このゲームの最大の特徴であり、特色であり、神ゲーと呼ばれる所以であり、またこの作品を一層深く、暗いものにしているのです。

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