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アニメ映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』試論-6- 感想とレビュー どう解釈していくか 分析・ネタバレ・考察

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-赤木リツコ、蓮舫化-
 私たち観客は、この作品がシンジ視点で描かれるということもあり、14年の空白を知らない側の人間です。その間に起こったことは、簡単に言えば破のラストに流れた予告に集約されていることでしょう。
 リツコの髪がベリーショートになっていたということから。
 リツコ博士はもとからボブスタイルですから、あまり長いとは言えません。しかし、14年経った今、蓮舫のような髪型になっています。私はこれを蓮舫化と呼んでいるのですが、髪をこのようにばっさりときってしまう、ましてやかりあげてしまうということは、女性一般にとっては、かつての過去の女を捨てるということを意味しているのではないでしょうか。アニメ版や、旧劇場版とは同一線上の時系列になっていないとしても、あのゲンドウの女としてネルフで暗躍していたころの自分とは決別して、男の所有物である女を捨て、新しい自己を手に入れたということでしょう。そうして、同僚でもあり、親友でもあり、ライバルでもあった葛城ミサトとともに、ネルフを離れ、ヴィレを組織。
 これはかつてのネルフの立ち上げ時の状況に似ています。同僚ではありませんでしたが、多く指摘されていることは、ネルフのゲンドウと冬月の関係と、ヴィレのミサトとリツコの関係がにているということです。リツコはゲンドウのもと、ネルフの表ざたにはならない計画を進める裏の人間でした。しかし、それから決別し、ミサトのサポーターに徹することによって、現在の状況になりました。赤木ナオコが女としての自分に負けたことによって自殺したことに対して、旧劇場版ではそのあとを追うように女として利用されたリツコですが、髪をあのようにカットして過去と決別するということは、おそらく同時に女としてのリツコも棄てていると考えられます。ですから、今までライバル視していたミサトに対しても、奪い合う男、梶がいなくなったことも含めて女として張り合う必要がなくなったのだろうと私はおもいます。
 こういう見方をすると、冬月先生がゲンドウと行動を共にしたのも、男同志のユイの取り合いから、身を引いたということになるでしょう。

-冬月先生-
 今回の冬月先生は、計画書をもはや持っていないようにも感じられます。
冬月「ゼーレはまだ、沈黙を守ったままか」
ゲンドウ「人類補完計画は死海文書通りに遂行される。もはや我々と語る必要はない」
冬月「碇、今度は第13号機を使うつもりか?」
冬月「まあいい。俺はお前の計画についていくだけだ。ユイ君のためにもな」
もはや諦念と言ってもいいような、人生に疲れてしまった雰囲気を与えました。それは単に年をとったということなのでしょうか。
そんな冬月先生の趣味が今回初めて明かされるわけですが、なんと将棋を打つと明言してしまいました。これがネットで大分話題を呼んだようです。私はシンジ君レベルしか将棋ができませんから、どちらが適当なのかわからないのですが、正しくは将棋は指すものだそうです。
http://d.hatena.ne.jp/sangencyaya/20070410/1176210594参考ブログ

「第3の少年。将棋は打てるか?」「結構だ。付き合いたまえ。飛車角金は落としてやる」
今までシンジに対して、ここまで冷たい言動はありませんでした。第三の少年と固有名詞も使わずにシンジのことを呼ぶということに、多くの人間が違和感を感じたでしょう。
「三十一手先で、君の詰みだ」
これもネットで話題を呼んだ問題の一つです。三十一という数字がなぜ突然でてくるのか、これを謎に思った人々が調べたところ、ちょうど三十一分後にカヲル君が死ぬという場面になるようです。私も時計をもっていって測りましたが、たしかに三十一分経過していました。ただ、三十一という数字は、他にも月と関わりを持っていると指摘しておきます。エヴァという作品は、月をモチーフにしていますから、月との関連性もあると私はおもいます。つまり、月は最大でも31日で終わるわけです。だから、どのみち「終わる」という意味づけがここにされているのではないでしょうか。

 冬月先生がおもむろに出した写真。これもまた多くの議論を呼びました。先に会話から見て行きましょう。
シンジ「!この人は・・・綾波?」
冬月「君の母親だ。旧姓は『綾波ユイ』大学では私の教え子だった。今は、エヴァ初号機の制御システムとなっている」
シンジ「!!」
冬月「うむ。ようやく電源が復旧したか。「ヱヴァのごく初期型制御システムだ。ここでユイ君が発案したコアへのダイレクトエントリーを自らが被験者となり試みた。君も見ていたよ。記憶が消去されているがな。結果、ユイ君はここで消え、彼女の情報だけが綾波シリーズに残された。君の知っている綾波レイはユイ君の複製体の一つだ。その娘も君の母親同様、初号機の中に保存されている。すべては碇の計画だよ」
シンジ「そんな・・・」
冬月「世界を崩すの事は造作もない。だが、作り直すとなるとそうもいかん。時と同じく、世界に可逆性はないからな。人の心にも・・・。だから今、碇は自分の願いを叶えるためにあらゆる犠牲を払っている。自分の魂もだ。君には少し、真実を伝えておきたかった。父親の事も・・・」

 ここでは、ユイの旧姓が『綾波』であったことが判明します。アニメ版では、旧姓は『碇』でした。六分儀ゲンドウがユイと結婚して、『碇』の姓を名乗っていました。それが、新劇場版では『碇』と『綾波』が結婚して『碇』になっています。『綾波』の姓が一体どこからきたのか謎だったアニメ版とは違い、『綾波』はユイの旧姓に変化しました。ここが大きな違いです。
 また、このセリフから、ミサトとリツコがシンジには嘘をついている可能性も上がります。初号機のなかにはシンジとレコーダーしかなかったというのが彼女たちの説明でしたが、おそらく初号機には冬月先生の言葉が正しければレイがまだはいっていると考えられます。また、心に可逆性がないということは、一旦ダイレクトエントリーをしてしまったら、そこから取り出すことは不可能だということなのでしょうか。そうすると、レイも本来は取り出せなかったということにもなるかもしれません。ユイが初号機のなかから出て来れないということなのかも知れません。だから、ゲンドウはユイにもう一度逢うために、引き出すことができないのなら、人類全体を一つの魂にして、ユイとふたたび逢おうとしているのだと私は思います。全部が一つになったらユイの魂がどれかもわからないのではないかとも思えますが。

-真希波・マリ・イラストリアスの正体は?-
http://d.hatena.ne.jp/type-r/20121123このブログを参考にしつつ
 水前寺清子の「365歩のマーチ」や天地真理や「グランプリの鷹」のテーマ曲を鼻歌交じりに歌うマリ。一体マリとは何者なのか、新劇場版で突然出現してきたキャラクターに誰もがとまどいました。今回のQでも、マリ自身についてはほとんど言及されず、おそらく次回作でもこのまま説明なしでつっぱしるのではないかなと私は思っています。基本的に説明しないというのが、エヴァの作品性ですから。そのテクストの空白を観客に委ねるというのが、庵野さんの作家性です。
 ただ、ひとつはエヴァの呪縛が出てきました。それからもうひとつは、冬月先生が取り出した写真、シンジを抱っこするユイの右側の赤縁の眼鏡をかけた女性が謎を呼んでいます。写真の女性は、現在アスカの母親説と、マリ説にわかれています。
 母親説というのは、つまりアニメ版ではエヴァ二号機とダイレクトエントリー後に精神崩壊を起こし、7歳のアスカがパイロットとして選ばれた日に自殺してしまった、惣流キョウコ・ツェペリンの姿であるという説です。アニメ版では自殺してしまいましたが、これはその精神崩壊を起こす前。二号機にダイレクトエントリーを試みるほどの人物であることから、研究の中枢にいただろうという予想がなりたち、それがこの女性ではという説です。
 それに対して、これはかつてのマリだという説。エヴァの呪縛によって、身体が老化しないことが判明しました。もし、この当時のマリが何歳であるかはわかりませんが、この写真に写っている前後でエヴァのパイロットになったとすると、この当時から身体年齢は変化していないことになります。コードビーストを使用するなど、マリが異常にエヴァの知識を知っていることや、ゲンドウに対して「ゲンドウ君」と親しみを込めた呼び方をしている点からも、マリがネルフ創設時から研究者として参加していた可能性があげられています。
 さらには、マリがアスカの母親だというこの二つの論を合わせたものまであります。アスカのサポートをしている点からこれを考えているようです。私はかつてのマリが写真に写っているという論が最も妥当かと思っています。

 マリの存在意義は、作品内ではいまだ明かされていませんが、作品外から論じると、これも時代を象徴したものになっていると私はおもいます。というのは、マリの特徴は、眼鏡、巨乳、語尾がニャなど、あまりにもエヴァンゲリオンという作品のなかでは極めてキャラクターづくりがあざとい存在です。これは、やはり、現代のファンが好みそうなものをわざと集約して登場させたと考えることができるのではないでしょうか。つまり、お前らが求めているのはこんなやつだろと、作者側がわざと提示した存在であるかも知れません。そうして、それはかつてのファンにエヴァの呪縛という批判をすると同時に、現代のファンに対してもこうしたキャラクターを登場させておけばいいのだろうという批判になっていると私はおもいます。

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