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夏目漱石 「三四郎」 もう一度読む名作 テクスト論からバイアスの解放 その五

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『三四郎』の空間
『こころ』と違い、地名の明記された小説
小説を読み解くさいに、前回は人物関係に視点を当てて分析しました。今度は舞台の設定となる空間に関してです。
「心」は地名が殆ど出てこない作品で、固有名詞もわからないものが多いです。それに対してこの「三四郎」は地名がやたらよく出てきますし、固有名もはっきりわかる作品となっています。対称的なのです。
東大(東京帝国大学)と一高
地図を見れば、一高が東大の一部のようなものになっていると気づくでしょう。道を挟んで向かい合っているのです。

三四郎の下宿
P39ℓ14「追分に帰ることにした」
追分は地図でみても東大の近くであることがわかります。

広田先生(と与次郎)の借家
「三四郎」では、広田先生が引越しをするという大事な話があります。以前の家は、P47ℓ4「東片町の五番地」で引っ越した後は、P97ℓ4「西片町十番地への三号」と明記されています。

里見兄妹の家
P102ℓ6「本郷真砂町」

野々宮宗八の新しい下宿
野々宮君は初め大久保に住んでいましたが、妹のよし子を里見家に預けてから本郷界隈に越してきます。P254ℓ8「二人は追分の通りを細い露路に折れた~野々宮はこの奥にいる。三四郎の下宿とは殆んど一丁程の距離である。」
さて、現在では使用されなくなってしまった尺貫法。しかし、明治の小説を読む際には、この尺貫法をきちんと頭に入れておく必要があります。一丁の距離があるという三四郎と野々宮の家。一体どのくらいの距離なのでしょうか。
一丁というのは=町でもあります。一丁は60間ということを覚えておいてください。1間というのは、畳の長いほうの長さ。
この当時の長さの基準は畳から始まります。現在では少し小さくなってしまった畳ですが、当時の大きさは、約90センチかける約180センチ。1:2の長さでした。そうしてこの180センチの方が、6尺(一尺は30、3センチ)でこれが=一間です。
この一間が60こぶん。それが一丁。180センチかける60ですから、10800センチ。メートルで言えば108メートルとなります。一丁は約100メートル強だと覚えておけばよいのです。
ですから、三四郎と野々宮君の下宿は、100メートルちょっとしか離れていません。ボルトが走れば9秒台で到達できるくらいの距離になります。

画家・原口の家
P268ℓ5「曙町の原口」

団子坂の菊人形
丹青会の展覧会
P227ℓ5「池の端」これは不忍の池の端ということです。どこも本郷界隈での話しであるということがわかります。

東大周辺の限られた空間を、東大がらみの人物たちがほとんど徒歩で移動する物語
(第一章は東海道線の車中だが)
例外としての電車利用の移動
与次郎に連れられて新橋・日本橋
電車で大久保の野々宮を訪ねる(大久保は当時豊多摩郡)

東京帝国大学英文科一年生の三四郎
「新しい四角な帽子」「一寸得意」
三四郎は週何時間授業に出ているか?
P47ℓ10「平均一周に約四十時間程度」
当時東大は一コマ60分で一日9コマまで時間割りがありました。空き時間なしでめいっぱいとったら最大で週50時間まで履修可能になります。土曜の午後は休みですから、9×5日+土曜の5時間=50時間
ただ、これを与次郎は「馬鹿々々」と言ってしかります。その結果20時間まで減りました。大体私と同じです。減らすことが出来たのは必修が少なかったからです。

三四郎の筆記用具
さて、当時の学生はどんな筆記用具を使用していたのでしょうか。P150ℓ6「印気の着いた洋筆を振って」書いていたことがわかります。しかし、インクのついたペンというのは、インクが内蔵式ではないということです。とすると、インキはどこでつけていたのでしょうか。東大の椅子のそれぞれに備え付けてあるのでしょうか。P68ℓ11「いつもなら手帳と印気壷を持って、八番の教室に這入る時分である」から、生徒がインクももって歩いていたということがわかります。万年筆ではない時代です。

P290ℓ14「大学の外国文学科は従来西洋人の担当で、一切の授業を外国人教師に依頼」していますから、殆ど西洋人による授業がでした。もしかしたら今の学生ではとても耐えられない状況かもしれません。この外国人たちが日本語が堪能ということもなく、英語ですべてやってしまうのですから、どちらにとっても辛かったでしょう。

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