オノマトペへの試論 7 終りに

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豊かな言語体形がある日本語だからこそ発達した文化、音喩の文化は現在の日本の文化において非常に重要な位置を占めています。例えば教育現場。オノマトペは幼稚な言葉と認識される傾向がありますが、それは最も端的にイメージを共有するために使用される場合が多いからなのです。幼稚園児や小学生のような年齢の低い子どもたちに物事のイメージを伝えるときには、オノマトペは極めて重要な役割を果たします。オノマトペと教育を研究した成果では、オノマトペを使用してイメージを伝えた方が、例えば身体の動かしかたなどがよく伝わるという結果が、幅跳びや握力測定の実験からわかっています。
文学作品ではもはやオノマトペがなくてはならないものとなっています。オノマトペは幼稚な言葉と考えられる一方、日本の言語芸術の最先端でも活躍するというたいへん広域な活躍を見せるのです。

漫画で発達したオノマトペが、こんどは逆流入されて私たちの社会にも影響を与えました。文字として、絵としてもオノマトペの要因のなかに取り込んだため、極めて多様化したオノマトペが私たちの生活にあふれ出たのです。もはや、オノマトペは、絵や文、音、それぞれの分野を含んだ総合媒体であるため、私たちの生活には欠かせないものとなりました。
日本語は、清音・濁音・半濁音にくわえ、平仮名・カタカナ、豊かなオノマトペのもととその付属語、それから様々が言語から柔軟に取り入れることが出来る記号(・・・など)の自由な組み合わせによって、無限のオノマトペを得ました。そこには、若い人の間で流行ったり、あるいは廃れて行ったり、時代を表すものであったり、友人との意思疎通のなかで使用されるものなど、実に多様なオノマトペが活用しています。

私たちの生活は既にオノマトペとは切り離せないものになりました。これからは、だれもがオノマトペの創造者になりえる時代になり、より音に対しての感性を深めなければなりません。自由にオノマトペが創造できるようになった反面、あまり人に伝わらない、理解できないオノマトペが跳梁跋扈しているのもまた現実です。これからは、オノマトペを使いこなせるオノマトペリテラシーなるものが必要とされる時代なのです。
一つ気をつけなければいけないことを述べて、これまでのオノマトペへの試論を終りにしようと思います。
勝手につくったオノマトペが、相手に伝わりにくかったり、その場8に居合わせない人が後から聞いてもわからなかったりする場合は、そのオノマトペを考えなおさなければいけないのかも知れません。
しかしまた、初めに述べたとおり、オノマトペの元々の語源は「造語すること・名前を造ること」です。なんといってもオノマトペの魅力はその生き生きとした表現にあります。言葉が生きているとはまさにこのことを言うのだろうと思います。そうして私たちがオノマトペに親しみ、楽しみ、そのオノマトペを聞いたときに何かのイメージが生き生きと伝わってきたならば、それは十分にオノマトペと共生していることになるのです。

参考文献
『オノマトペがあるから日本語は楽しい 擬音語・擬態語の豊かな世界』 小野正弘 平凡社新書 2009
『擬音語・擬態語4500 日本語オノマトペ辞典』小野 正弘 小学館 2007
『オノマトピア・擬音 擬態語の楽園』 筧寿雄/田守育啓 勁草書房 2003
『オノマトペ〈擬音語・擬態語〉をいかす -クオリアの言語心理学-』 丹野眞智俊 2007
『賢治オノマトペの謎を解く』 田守育啓 大修館書店 2010
『漫画原論』 四方田犬彦 筑摩書房 1999

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