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アニメ映画「銀色の髪のアギト」への試論 感想とレビュー アギト思想の系譜

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-大アニメ映画解釈祭-
秋の夜長に楽しむのはアニメ映画に限る。アニメ映画は、アニメ表現を制約された時間のなかで、普段のアニメ製作時とはかけ離れた時間と金をしようすることによって作られる極めて高度な芸術作品である。00年代になり、CGの技術が導入され、物語自体もそのテーマとする内容が変容してきた。また、アニメはいままでごく一部の人間が見るものとされてきたが、秋葉文化が世界中でも見直され、評価されるようになり、アニメは広く開かれたものとなった。アニメの影響は強く他のメディアにも影響し、メディアミックス展開とよばれる言葉まで出来るようになる。アニメ映画を読み解くことは、まさしく現在を読み解くことと他ならない。00年代のアニメ映画を時代順に解釈していく。

-初めに-
『銀色の髪のアギト』(ぎんいろのかみのアギト)はGONZOによる長編劇場アニメ作品。2006年1月7日公開。日本の劇場アニメ作品として初めて中国で公開された。
アニメ製作会社は当時無名で、話題に上らず、興行収入は大変な失敗に終わりました。

-ヒロインと非共感性-
話は300年後の未来の世界。300年前に、人類は地球上の植物の遺伝子を組み替えて新たな生態系を作ろうとしました。しかし、その実験は失敗。月の研究所で生まれてしまった意志をもった植物は、ほんの数分の間に地球へと襲い掛かり、地上のあらゆるものをのみこんでしまいました。
そうして300年がたった後、我々人類は地上で植物とともに何とか共存、少数ですが人類は生き残っています。そこで300年前のカプセルから少女が目覚める。かつて人類の科学文明が最も発達していたころの人間です。この過去からの来訪者に、数年前に目覚めたシュナックという男も居ます。このシュナックという男は、この大失敗した研究の科学者。そうして目覚めた少女は、このシュナックの上司として、生物を研究していた博士の娘だったのです。もし、実験の果てに失敗し、生態系が壊れた場合、地球の生態系をもう一度とりもどすために、人類が住みやすい地上にするために大掛かりな兵器が残されました。この物語は、植物に支配されてしまった地上を巡り、かつての人間による、かつての人類至上の世界へと戻そうという人間たちと、現在のまま、自然との調和を目指す人間たちの戦いの物語なのです。
地上のどこであるかはわかりませんが、舞台となるのは、300年後の世界の少年、主人公のアギトが住む中立都市。この中立都市を挟み、一方に植物が支配する森。他方は武力によって森を支配しようと考える軍事都市ラグナ。この二つの対立のなかで、挟まれた中立都市の人間の苦悩が描かれています。

人類の科学技術により荒廃してしまった未来というのは、SFではあまりに王道なテーマ。過去の人間がタイムカプセルによって生き返り、現在の人間たちとの交わりのなかで一体どうするのかという物語です。シュナックという男は、研究の失敗に責任を負って、地球の植物を排除しようと考えます。当然、自分の失敗によって、多くの人間の命を奪ってしまったのですから、その責任たるや、とても一人ではつぐなえないもの。地上の森を排除することによって、何とか贖罪しようと考えたのです。トゥーラはシュナックの上司の娘。少女にとっては、右も左もわからない現在の世界において、唯一自分の父を知っている人間として、シュナックに近づいていきます。
ヒロインとしてのトゥーラは大変低い評価を受けています。主人公アギトによって、目覚めさせられ、伴に生活をするなかで、アギトたち中立都市の人間とは全く異なる考えのシュナックのもとへといってしまう。アギトがわから描かれた物語において、ヒロインとして主人公を裏切る部分が誰の理解をも得られないのです。
最終的には人類と森との関係性の新たな秩序を感得し、森の焼き払いを止めます。しかし、シュナックはこの少女がいなければ、この兵器を動かせなかったわけで、全ての事件の原因はこの少女の選択に帰結されてしまいます。行動を起こしたのはシュナックですが、その要因となるのは、あまりに優柔不断で、現実の何も見えていなかった少女トゥーラに帰結されてしまいます。この責任があまりに大きくて、観客はトゥーラを好きになることはできないのでうす。

-アギト思想-
最近のアニメ・ゲームなどいわゆるサブカルチャーのなかで「アギト」という言葉をよく耳にします。このアギトという言葉、しかしその意味はあまり明確ではありません。今回はこの「アギト」という言葉について、論じてみます。恐らく「アギト」について論じられるのは初めてのことではないかと思います。
先ず、アギトとは古語「顎」のことです。しかし、これだけでは現代の「アギト」に対応したものとは考えにくいものがあります。
仮面ライダーアギトで、そのアギトの意味は何かという問いに対してヤフー知恵袋での回答があります。http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1035052380
『アギト:agitoはラテン語で「目覚め」「挑戦」。表記はαから始まってΩで終わるので「最初で最後、究極」という願いが込められている』のだそう。多くのアギト思想は、この平成ライダーとして登場した仮面ライダーアギトに由来するものだと感じます。
古くは高屋良樹による日本の漫画作品『強殖装甲ガイバー』に登場する巻島顎人からアギトは始まっています。1985からの漫画です。このときはまだ顎という意味のほうが強いです。
顎は、生物が生きていくなかで大切な部分となります。顎が強いという言葉は、そのまま生命力が強いという意味にもつながってきます。そのなかで、この漫画が最も早く、顎と力を結びつけました。読んでいないので詳しくはわかりませんが、この巻島顎人は力を求める人物として描かれているようです。そうしてアギトという名前は、1994年の『仮面ライダーJ』の登場人物として、00年代に入ってからは『エア・ギア』の登場人物、『魔法少女リリカルなのはシリーズ』の登場人物として受け継がれているようです。
ただし、これら固有名詞としてあたえられたアギトはおおきな意味を持ちません。やはり最もアギトという言葉に影響を与えたのは、仮面ライダーアギトです。2001年からの放送ですから、00年代のその後の作品に存在するアギトはこの仮面ライダーからの影響があるといってよいでしょう。何か究極的な意味を秘めた力がそこでは付加されました。
一方「顎」としての力の象徴は、モンスターハンターで、ティガレックスという凶暴なモンスターの素材として、顎が登場します。こちらからも、力と顎の関係性が生まれています。現在では、力と結びついた「アギト」がスクウェア・エニックスのゲームソフト『ファイナルファンタジー零式』に登場します。ここでは救世主として描かれているようです。
2011年の零式。その五年前となるこの作品『銀色の髪のアギト』は、力だけの存在から救世主という意味を付加するまでに至る重要なターニングポイントの一つになるのではないかというのが、私の論です。
仮面ライダーアギトでは、何か究極的なものでした。この作品では、強化体と呼ばれる存在があります。植物の力を貰うことによって、超人的な能力を身に付けることを意味します。この物語では強化体が重要な意味を持ち、中立都市は強化体になったアギトの父アガシとハジャン、ヨルダの三人が設立したものと言及されます。そうして何より主人公のアギトが、この植物の力を身につけてトゥーラを救うというところから、救世主的な力という意味が付加されたのだと思われます。

-終りに、評価できない点-
この作品の評価できない点は、やはりアニメのアフレコに一般の俳優を多く当てたこと。声優という仕事が独立していあるのは、それだけアニメーションに声を吹き込むということが難しいからなのです。俳優は俳優で舞台に立ちます。それは声優にはできないことでしょう。ですから、当然俳優たちが吹き込んだものは、声優よりも劣ることは紛れも無い事実なのです。
特にこの作品では、引き離された主人公同士がお互いに呼び合う場面がありますが、どうしても迫真性に欠けるのです。それが、この作品を不自然なものとさせている一つの要因です。
もう一つは映像技術。CGを使用した兵器に動きは、他の部分との調和が取れていません。どうしても兵器だけが別の存在のように浮かんで見えるのです。それから人物の動き。人物の動きを徹底して追っていったのは、他でもないスタジオジブリです。戦闘シーンは、あまりに不自然な動きが多く、その点でも迫真性にかけるのです。
脚本ですが、あまりに王道すぎて、何の新鮮味もないというのが残念な部分。はじめからシュナックが失敗することはわかりきった事実です。そうしてシュナック自体も、あらゆる悪役の典型といった人物。冷静を装って、知略を尽くし、最後は肉弾戦。天空の城ラピュタや風の谷のナウシカをそのまま踏襲したようなお話に、観客の予想どうりの展開。これが彩色にかけた作品を生み出しているのです。

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