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映画「オーケストラ!」への試論 感想とレビュー 物語構造から映画を批評する

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-初めに-
「オーケストラ!」(原題: Le Concert)は、2009年のフランス映画。日本では2010年公開でした。公開前のコマーシャルでは、とてもコメディタッチの面白そうな映画のように編集されていたので、大変期待を寄せていた作品でした。コマーシャルを見た限りでは、オーケストラの団員が集まるのですが、どんちゃんさわぎで全くまとまらないというようなコメディ映画のように思えました。
ところが、実際映画を見てみると、過去に縛られた暗い、陰惨な映画でありました。今回は何がいけないのかそれを感情論だけでは済まさずに、解析して論じます。

-構造と不和-
私が予想、期待していた映画は、「ブルースブラザーズ」のようなハチャメチャで行っていることは犯罪に近いことなのだけれども、そこはかとなく面白おかしく、晴れやかな気分になれる映画でした。
ところが、この映画はコマーシャルではそのような雰囲気をかもし出していたのにも拘わらず、ある意味全く反対の映画でした。それはそれで、そちらの方面で面白い映画であればよかっただけの話ですが、そういうわけでもなく、はっきり言って全編を通してみるのが億劫なほどつまらない映画でした。
ここで一つ注意しておかなければならないのは、やはりコマーシャルというのはその商品の「宣伝」なわけですから、多少の過大広告は許せても、性質の違うものを見せてはいけないだろうということです。だれだって食品サンプルを見て注文した料理が、それとは全くことなるものだったならば腹を立てるはずです。この映画にも同じことが言えます。コマーシャルが一つの悪い要因ではありました。
さて、この映画の構造ですが、主人公となるアンドレイは過去において共産主義政府によるユダヤ人排斥政策に従わなかったため、偉大な指揮者だという身分を追放され清掃員に成り下がっていました。このアンドレイがあるチャンスをきっかけにして、以前追放されたオーケストラのメンバーを集めてコンサートを行うというものです。
映画はコンサートを行った後、何故アンドレイが現在までに至ったのかを過去を回想する形で種明かしされます。ですから、冒頭ではアンドレイが何故清掃員になっているのか、周囲の人の言葉でかすかに判る程度です。
扱っている内容な先ずよろしくいのだと私は思います。共産主義政府だった過去を持つフランスは、確かにユダヤ人排斥をしました。現在でもそのために犠牲となったユダヤ人たちのための碑もあります。しかし、大概にしてこうした暗く陰惨で重いテーマを扱った映画は失敗します。こうしたテーマはあまりにも壮大で、これを本軸にすえない限り、描くのは不可能なのです。
ですから、この映画の場合は、このテーマを下敷きとして今の主人公があるのだよという設定にしたため、映画全体に不和が生じてしまったのです。アンドレイを主役にするのなら、彼の過去はもっと小さくて、彼個人の問題にしなければなりません。
そうして、そのようなテーマを扱った映画なのにも拘わらず、まったくカタルシスが見えてこない。
彼と浅からぬ関係にあったアンヌ=マリー・ジャケが言っているように、アンドレイは精神的に病んでいるのです。病院にいったほうがいいとまで言われています。そうした性質をもつ主人公を描いているのですから、当然映画自体も精神的に病んでいるのです。

-しつこい共産主義-
まだまだ駄目だしは続きます。オーケストラのメンバーを集めて、最終的には公演をするというのが映画約7割の目標です。この大きな目標のために皆が頑張るのですが、様々なトラブルが起こるというありふれたパターン。
ありふれたパターンは別になんの問題もなく、安心してみていられるという点でよいのですが、その問題はあまり解決されているようには思えない。しかもいちいち取り扱うものがどうもずれている感じがするのです。
大きな問題の一つに共産主義の仲間の問題があります。この仲間は、公演の行われるイギリスで、コンサートと同じ日に共産主義の大会が重なってしまい、この大会を成功させるためにも、コンサートを邪魔せざるを得なくなるのです。だからいちいち共産主義を持ち出すなと私は言いたい。それを描くならそれ、違うものを描くならそんなものを持ってくるなということです。どうしてこの作品gあ様々な賞にノミネートされたのかもよくわかりません。
最後の3割はというと、先ほど述べたアンドレイの過去の回想。そこでアンドレイと彼の友人たちの過去と、今回のために特別に演奏を依頼したマリージャケというバイオリニストとの関係性が明らかにされます。しかし、それも共産主義が絡む。
この回想を見ても、ちっとも我々は共感も出来なければ、感情移入も出来ません。ですから全く感動もせず、悲しんだり、喜んだりするはずがないのです。我々はこの作品に入り込む余地がない状態なのです。ですから、蚊帳の外にいる我々はこの作品に向き合っても、そこから何も得られないのです。

-終わりに-
下敷きを暗くしたら、当然作品全体が暗くなるのは当たり前です。初めからそうなるとわかっているのに、この作品はそれを何とかうわべの笑いで覆い隠してしまおうとしているような感じがするのです。その見え透いた嘘、しかも上手くない嘘が、我々観客の反感を買い、全く面白くない作品へと感じさせるのです。
ただ、インターネットのレビューなんかを見てみると、何故か星が高い。この結果に私は納得できないのです。一体だれがどのような見方をしたらそのような評価になるのか、私は知りたい。どうか、皆さんも自分の目で確認してみてください。

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