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Hubert Robert ユベーロベール-時間の庭-展 感想とレビュー 雄大な時間の流れを感じる

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《古代遺跡の発見者たち》1765
先日Hubert Robert ユベーロベール-時間の庭-展に行ってきました。広告を見たときから一体この廃墟はなんて美しいのだろうかと待ち遠しかった展示会です。
ユベーロベールはフランス人。英語読みをしたらヒューバートロバートですからなんだかへんな名前ですが。彼は1733年、スタンヴィル侯爵の侍従ニコラ・ロベールを父としてパリに生まれました。コレージュ・ド・ナヴァールで当時の画家としては珍しく古典的教育を受けた後、彫刻家スロッツにデッサンを学んだとされます。1754年、フランス大使として赴任する侯爵の息子スタンヴィル伯爵(1758年からショワルーズ公)に同行してローマに渡ったロベールは以後、11年にわたってイタリアに滞在します。
展示会は6つから構成されていて、ユベールの人生を追うことが出来ます。
Ⅰイタリアと画家たち
Ⅱ古代ローマと教皇たちのローマ
Ⅲモティーフを求めて
Ⅳフランスの情景
Ⅴ奇想の風景
Ⅵ庭園からアルカディアへ

作者不明のユベールの肖像がから、クロード・ロラん、ピエール・パテル、ガスパーニ・デュゲ・サルヴァトール・ローザ、ジャン=ニコラ・セルヴァンドーニ、ジョバンニ・パオロ・パニーニと名だたる作家たちの遺跡を描いた風景画から始まります。
ユベールの作品が出てくるのはⅡ章から、彼は赤いチョークを愛用し、展示されているスケッチのほとんどはやさしい赤茶色の色です。ペンによる《セプティミウス・セウェルス凱旋門》《コンスタンティヌス凱旋門》の双門は威圧的で無機質な感覚があります。
彼のスケッチは非常に精緻で明確です。その鋭すぎる部分を彼は赤いチョークを中和剤として使用したのではないでしょうか。スケッチを見ているだけで、一つの作品を見ているように感じられます。しばらくスケッチが続いた後、名憧《ティボリの滝》が展示されています。遠くに見えるティボリの滝は雄大です。その丘の上に見られるのは、スケッチにもあった古代の遺跡群。しかし手前に広がる部分にはヤギやイヌ、水を汲みに来た女など今現在を生きる人間の姿が描かれています。
ユベールは常にこの時間の対比を考えた画家でした。遠い時間にとまってしまった遺跡だけで終わるのではなくて、現在生きている我々をも描きこむことによってそのコントラストを表象したのです。
また彼はスケッチを多くとる画家だったようですが、このスケッチを元にして絵を描くようです。《ユピテル神殿、ナポリ郊外ポッツオーリ》《古代遺跡の発見者たち》はともに下となったスケッチと共に展示されていますからその比較をすることも面白いでしょう。
《ユピテル神殿、ナポリ郊外ポッツオーリ》1761
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しかし遺跡や廃墟で有名とは言え、それしか描いていないわけではありません。宗教画から日常の様々な場面も描いています。一体彼には世界がどのように見えていたのか、これがとても興味深い問題ですね。
《スフィンクス橋の眺め》《凱旋橋》は1767の作品と1782-3と年代の離れた作品ですが、これは非常に面白い比較研究の対象になるのではないでしょうか。絵の構図が全く同じなのです。14、5年経っても変わらない構図。この構図が得意だったのでしょうか。
《スフィンクス橋の眺め》1767
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《凱旋橋》1782-3
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また《カンピドーリオ広場の辻音楽師たち》と《モンテ・カヴァッロの巨像とサン・ピエトロ大聖堂の見える空想のローマ景観》は研究もなされているようです。対になる作品を描くというのは何かしらの心情が働いていますから、それを解明するのが研究者の仕事ですね。
当時すばらしい名声を手にし、技術もあった画家ロベール。彼の世界観は当時の人々を魅了しました。廃墟や遺跡というモチーフが流行り、それをもとにしたデザインの机なども出来ました。時代の流れに奔走され、一時は牢獄へ入れられたこともあるロベール。しかし彼は牢獄にいた間も皿に絵を描き続けます。彼にとっては絵はそれほど人生をかけるべきものなのでしょう。彼が見た世界、時間は彼の作品の中に閉じ込められています。それを私たちが見たときにその世界、時間を感じられるように。
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《サン=ラザール牢獄の囚人たちの散歩》1794

はるか昔の過ぎ去ったことを描いていますから、雄大な、長大なものをイメージさせられます。しかしそれは人間なんて儚いものだといった思想ではなく、どこか身近に感じられるものなのです。遺跡発掘に沸いた時代。彼は先人たちからのメッセージを受け取り、それを私たち後人のために残してくれたのではないでしょうか。時の流れはあまりにもおおきすぎて、その前では私たち人間は塵のようです。しかしだからといって諦めるのではなくて、強く今を生きようというように語り掛けられているように感じられます。
緩やかで、広々とした時間旅行をお楽しみください。

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