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夏目漱石 「心・こヽろ・こころ」 もう一度読む名作 テクスト論からバイアスの解放 その二

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読みに入る前にその二
・1、生まれてから死ぬまで一度も金を稼いだことのない「先生」
結婚後も「何もしないで遊んでいる先生」これは
P36ℓ6「先生は大学出身であった。これは始めから私に知れていた。然し先生の何もしないで遊んでいるという事は、東京に帰って少し経ってから始めて分かった。私はその時どうして遊んでいられるのかと思った。先生はまるで世間に名前を知られない人であった」という箇所からわかります。文字通り無名無職です。

「先生」夫妻の住居は持ち家か、賃貸か
P108ℓ13「『静、おれが死んだらこの家を御前に遣ろう』奥さんは笑い出した『序に地面も下さいよ』『地面は他のものだから仕方がない』」という箇所からわかります。家は「先生」のもので土地は借り物です。

「先生」という言葉のバイアス(偏見、固定観念)がありますが、別にこの「こころ」にでてくる「先生」はどこかで教えていたり何か働いているわけではないのです。何もしていないのです。
余談ですが、漱石自身は家を持ったことがありません。死ぬまで借家だったのです。これも作家という印象が作り出したバイアスです。

「先生」の収入源
P193ℓ6「親の財産」ℓ9「実をいうと私はそれから出る利子の半分も使えませんでした」とあります。金利が現在とはかなり違いますから一概には言えませんが、それでもかなりの財産があったわけです。しかも利子さえ使用しきれないので、さらに財産が増えていくのですから全くお金の心配は必要ありません。これを金利生活者といいます。
ここで一つ重要なのが、親が金持ち、家が金持ちなのではないということです。「先生」自身が金持ちなのです。就職する必要もまたありませんね。

「先生」という呼び名
「私」が始めて先生を先生と呼んだのはP14ℓ8「『先生は?』」という部分。ℓ12「私が先生先生と呼び掛けるので、先生は苦笑いをした。私はそれが年長者に対する口癖だといって弁解した」
これが「私」が「先生」と呼ぶ理由で、「先生」が苦笑いした理由は「先生」と呼ばれたのがはじめてだったからです。

・2、学資を送ってくれる人を失ったKの学生生活の過酷さ
P219ℓ6「Kは真宗の坊さんの子でした。尤も長男ではありません、次男でした。それである医者の所へ養子に遣られたのです」ℓ9「Kの生まれた家も相応に暮らしていたのです。然し次男を東京へ修行に出す程の余力があったかどうか知りません」P220ℓ4「Kの養子先も可なりの財産家でした」
ここからわかることは医者のところへ養子に出されたということです。当時普通医者の家に養子に出されればほとんどが医者を目指すということになります。恐らく医者の家族には男の子がいなかったためにKが送られたのでしょう。
ところがKはP220ℓ14「Kは中学にいた頃から、宗教とか哲学とかいうむずかしい問題で、私を困らせました」P221ℓ1「元来Kの養家では彼を医者にする積りで東京へ出したのです。然るに頑固な彼は医者にならない決心をもって東京へ出たのです。」「道のためなら、その位の事をしても構わないと云うのです」
Kは医学部ではなく文学部を選んだのです。現在とは学制が異なり、現在は大学へ入るのが難しいですが、当時は高校へ入るのが難しかったのです。高校と大学は定員が同じで、無試験で上がれましたから、どの科へはいるのかということは高校時に決定するのです。そうして大学時にKは親に告白をしました。
P224ℓ8「彼は私の知らないうちに、養家先へ手紙を出して、此方から自分の詐を白状してしまったのです」
P225ℓ1「Kの手紙を見た養父は大変怒りました。親を騙すような不埒なものに学資を送る事は出来ないという厳しい返事をすぐ寄こしたのです~Kは又それと前後して実家から受け取った書簡も見せました。これにも前に劣らない程厳しい詰責の言葉がありました」
Kは養子縁組も解除され、実家からも半ば勘当を食らったのです。
P225ℓ8「これから起こる問題として、差し当たりどうかしなければならないのは、月々に必要な学資でした」当然Kは学資のほかに生活費その他諸々を全て自分でまかなわなければなりませんでした。しかも何故ここまで強引に意地を通すのかというとそれは。P221ℓ4「道のため」だったのです。ですからとにかく勉強をするための行動なのです。
P225ℓ9「Kは夜勤学校の教師でもする積もりだと答えました」P226ℓ4「Kは自分が望むような口を程なく探し出しました。然し時間を惜む彼にとって、この仕事がどの位辛かったかは想像するまでもない事です。彼は今まで通り勉強の手をちっとも緩めずに、新しい荷を背負って猛進したのです」

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読みに入る前にその二・1、生まれてから死ぬまで一度も金を稼いだことのない「先生」結婚後も「何もしないで遊んでいる先生」これはP36ℓ6「先生は大学出身であった。これは始...

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