映画『ももへの手紙』 感想とレビュー 悲しみを乗り越えた親子の成長


監督、沖浦啓之
イタリア第14回フューチャーフィルム映画祭 最高賞プラテナグランプリ受賞
ニューヨーク国際児童映画祭 長編大賞受賞
文化庁メディア芸術祭アニメーション部門 優秀賞受賞
第36回トロント国際映画祭 正式出品
第27回ワルシャワ国際映画祭 正式出品
第44回シッチェス・カタロニア国際映画祭 正式出品
第16回釜山国際映画祭 正式出品
第31回ハワイ国際映画祭 正式出品
ベルリン映画祭で高い評価を受けた『人狼JIN-ROH』の沖浦啓之さんが、なんと年の歳月をかけて完成させた作品です。
色々と注目になっているなか、日本ではあまり話題になっていないのかなとも感じますが、大丈夫でしょうか。それとジブリ映画ではありませんよ。
どうして7年もかかったのかその理由を知りたいのですがよくわかりません。私の考えるところではとにかく絵がきれいなので、そこに時間がかかってしまったのかなとも思います。絵だけでいったらジブリより細かいかもわかりません。非常に精密に描かれていて、隙がないといった感覚があります。
ストーリーは日本の八百万の神の思想が重きを成しているのではないでしょうか。事故で父を失ったももとその母いく子の物語。夏にももといく子はおじおばのいる汐島へ引っ越してきます。ここでの物語りなのです。
こういう映画をみると本当に自分はなんてつまらない夏休みを過ごしているのだろうという自責の念に駆られてしまうわけですが、そんな青春の夏休みを描いた作品です。
そんな青春、できればもどりたいような夏休みですが、この作品は喪失にどう向き合い、それを乗り越えていくかというとても重要なテーマを抱えている作品です。いく子は突然の事故で自分の夫をなくしているわけです。幼い頃喘息でこの地で養生していた彼女はももという子を抱え、気丈に振舞わなければならない状態です。パートナー失うという非常事態に強いいく子は押しつぶされまいと自分を省みずに仕事に没頭するのです。これは自分がつぶれてしまわないようにとにかく内容のないものでもいっぱいに詰め込んでおこうという限界のラインだったわけです。
そしてももは、当日になって急に約束を破った父に対して「お父さんなんて嫌いだ。もう帰ってこなくていいよ」という言葉を言ってしまう。それが事実上の最後にかけた言葉になってしまったことを彼女は後悔するわけです。これは大人でも耐えられませんよね。喧嘩なんかをした後に死んじゃえばと軽くいったら本当に事故にあってなくなっちゃったなんていったらそりゃ気が気じゃないわけです。まして自分の父親に対してですからね、それはそうとう心に残る部分があるわけです。
当然ももは母ともっと話し合うべきなのですが、二人は少しずつずれていってしまいます。結局は喧嘩をしてしまう母子なのですが、それをこの妖怪たちがなんとかしてくれるのかどうかという話ですね。気になったら劇場に足を運んでくださいまし。
妖怪は日本の八百万の思想からきていると感じます。またこれは生死観の問題も入ってきていますからその点でも深い作品となっているわけです。
しかしこの妖怪たちは別段なにか出来るわけではないのです。昔のあらぶる神の時代に、あまりに乱暴を働いたために神通力を失ってしまったというのですからしょうがありません。妖怪三人組ともものぶつかりあいが非常におもしろく描かれております。
作品のすばらしい点は絵が非常にきれいなことから声優さんたちの豪華さにまで及びます。妖怪三人はベテランばかり。
イワには西田敏行、カワには山寺宏一、マメにはチョーさんとすごいことになっています。この三人は名演で作品に華を添えてくれます。ももは美山加恋、宮浦いく子は優香、この二人がどのような演技をしてくれるのかと思っていたのですが、上手くて正直びっくりしました。優香って声優さんなんだと感じられるほど上手だった。美山加恋ちゃんもアフレコ時は中2だったそうで、大したものです。96年生まれとか、若い。
ただ一部で評価されていないのも実態です。どうしてかと考えたのですが、七年かけて精密に精緻に作ったせいで、作品につっこむよちが無いからなのではと思います。完璧なものをみてしまうと感動はするのですが、ああそうかで終わってしまうということなんでしょう。絵も写実に近く、物語展開も期待通り、ですから優等生を見ているような感じがするわけです。私はそれでもいいかなとも思うわけですが、そうでない人もいますね。
丁寧すぎるのかな、沖浦監督、今度はちょっと気を抜いてみたらどうでしょう。

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監督、沖浦啓之イタリア第14回フューチャーフィルム映画祭 最高賞プラテナグランプリ受賞ニューヨーク国際児童映画祭 長編大賞受賞文化庁メディア芸術祭アニメーション部門 優秀賞受

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