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桐島、部活やめるってよ 朝井リョウ 感想とレビュー 高校生物語を読み解く

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第22回小説すばる新人賞受賞作にして、映画化、コミック化が決定。今注目の朝井リョウ著の『桐島、部活やめるってよ』を読みました。
平成生まれの作家ということが一つ大きく取り上げられています。ですから当然とても若いわけです。今回の作品はタイトルからしてとても興味をそそるものです。桐島、部活やめるってよ。こんなの帯に書いているものとか、本文からの一部抜粋とかですよね。それがタイトルなんですから当然注目を浴び、作品も良かったから今回の映画化、コミック化が決定したのも理解できます。
文庫本が4月25日に発売されました。私はこちらを読んだのですが、この文庫化にあたって朝井さんは最後に14歳の東原かすみの章を新たに描いたそうです。ですからハードカバー版にはないのかな。これはこの本を読むに当たってどうしても重要になるところです。どうしても足したかったのですからそれがもつ意味は大きいと考えるべきです。
それから映画の公式サイトを見たのですが、http://www.kirishima-movie.com/index.html「全員、桐島に振り回される」という文言が出てきます。これは映画ではそういう風に描かれるのですかね。少なくとも小説では振り回されるという言葉が持つニュアンスはでていないと思います。これは一つ注目ですよ。もしかしたらただの宣伝のための誇張かもわかりませんから注意が必要です。
この作品はタイトルからしても桐島というのが主人公なんだろうと考えるのが普通ですが、なんと桐島は殆ど出てきません。本編6章+番外編1章はそれぞれ桐島のクラスメイトからの視点で、少しずつ重なりながらも別のことを語り始めるのです。
確かに2章の小泉風助というバレーボール部の少年が語るところでは桐島がその部長でしたので、割と多く登場するのですが、それも回想する表現方法。どれも一貫として現在の桐島を知る手がかりが残されていないのです。そういう点で一種のミステリーと考えられないこともありません。
またこの主要人物である人間を敢えて書かない。こういう主役欠如型の小説は前々回書いた桜庭一樹さんの『傷痕』と似た構図をみることができます。主役の欠如。これはヒーロー、カリスマの欠如。引っ張るものが消えてしまった現在をどう生き抜いたら良いのかということに繋がってくると私は思うのです。今までの強きリーダーのいる世界から抜け出したかった人々はいざそのリーダーを失ってみると忽ちどうしてよいかわからなくなる。それでも歯車は回りつづけ、有用感というものを感じないままただひたすらに生きるほかないというなんとも無常な世界観。これが今広く社会に浸透していると感じるのです。

高校生活の小説ですが、著者が若いゆえかまさしく映像を見ているかのように鮮明にイメージができ、また説得力にたる作品であります。これを読めば現在の高校生はとても納得するというか、実際にいるクラスメイトに重ね合わせて読むことができるほどリアルな作品です。大学生や社会人になりたての人々には数年前の楽しくも辛かった青春時代を思い起こされるでしょう。そこになにを感じるか、これを一人ひとり聞いてみるだけでもまた小説が何冊かかけそうな感じがします。ちなみに私はこの小説で描かれているいわゆる下の住人でしたから(派手なグループに憧れつつも)、腹立たしく思い小説を投げ飛ばしそうになりましたよ。心穏やかでなければいけませんね。
また大人が読むとこれはまた違った読みになるのだと思います。映画化に際し、監督の吉田さんが解説を最後に行っていますが、高校生の現状、空気がかつてとは異なってきていると感じたそうです。上とか下とか自分の場所を読む、空気を読むということがかなりシビアにおこなわれるようになっていることは現役生でも感じるところでしょう。
やはりストーリー性はあまりないというほうがいいのですかね。これは古典的な小説に比べてという意味です。ある事柄、これでは桐島というなぞの人物が部活をやめるという事件を通してその前後のことを関係者が語っていくというドキュメンタリーめいた小説。やはり小説のありようが変わってきていると感じます。ドキュメンタリーを通して高校生を見る。徹底したリアリティーの追及は名前にも及びます。なにか歯がゆくなるような変な名前ではなく、クラスにいる友人の名前そのままです。
青春というものがなんなのか未だ具体的に理解できていない私ですが、その青春を思い起こすためこの本を読んでみたらいかがでしょうか。 

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