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舟を編む 三浦しをん/著 感想とレビュー 言葉の海に揺られながら

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今ものすごい評判を読んでいる本、それが三浦さんの書いた『舟を編む』です。とても感動した。この一言に尽きます。
私は文学部、国文学科というところで勉強をしている身ですが、まさしく国語を好きな人全員に読んで欲しい必読の書でした。辞書編纂という大事業、これを何年も何十年もかけて行うという果てしない作業を描いた一大ストーリーです。
三浦しをんさんの本はこれが始めてなのですが、非常に言葉を大切にしているなとつくづく感じました。同じ言葉を愛するものとして自分の不甲斐なさを改めて認識させられます。きれいな言葉を宝石を紡ぎだすように連ねていくしをんさん、これは誰でも出来るわけではありません。強い努力が見られ、洗練された感じがします。
ストーリーもスケールが大きいもので作品を読み終えると、そこまで厚いものではないのですが重厚感を感じました。
少し話しの展開が似ているなと思ったのが、暦を作る物語・冲方丁の『天地明察』、ロケット作りの池井土潤の『下町ロケット』です。あるチームがある目的の為に様々な困難を乗り越えて到達するという点でこれらは非常に似通ったものがあります。
どうしてこのような一つのことに拘るというストーリーが最近流行りなのか。ここに現代人の望みが反映されていると私は感じます。いつもいつも忙しい、ストレス社会だなんだかんだ。でもそんなことは置いといて自分の好きなことに熱中しようではないか。こう語りかけてくるような感じがしてならないのです。皆それぞれ人生をかけた大変な仕事です。途中で頓挫するものも多くあるでしょう。それでもやるんだ、こういう気持ちが今必要になってきているのではないでしょうか。
それは辞書編纂部の面々からも多く教えられることです。言葉は海。これは本当に理解できる感覚です。一つの言葉は水と同じなのですね。やっとその言葉のすがたを捕らえたと思ったら、次の瞬間には他の意味や使われ方が生じて別のものに変化している。人が人として生き、言葉を使うかぎり決して終わりのないことなのですが、それでも言葉を求めてしまう。
最近思うのが言葉がとても低俗なものになってしまったことです。とにかく表現の幅がぐんと狭まったように感じます。それはマスメディアがもつ責任も十分あると思うのですが、それ以外でもネット社会が生んだ弊害なのでしょうか。電車に乗っていれば、マジヤバイ、チョーヤバイの連発。これが日本語なのかと耳を覆いたくなるのは私だけでしょうか。
翻訳家の戸田さんも言っています、せっかくいい日本語があるのにその表現は難しいから使うなと言われるそうです。この本を読むとそういう言葉に対する認識ががらっと変わるのではないでしょうか。辞書編纂ということはほとんどの人間にとってなんの興味もないことでしょう。けれども言葉を愛する気持ち、大切にする気持ち、これはこの本を読んだ方ならわかるはずです。
三浦さんはいわゆる文学のための本ではありません。もっと多くに開かれた本なのです。これは本を普段読まないような方にこそ読んで欲しい本なのです。その点において非常に専門的なことを取り扱っていながら大衆性があるという普通相反するものを内包したすばらしいものです。
皆さんも言葉の海へ出向しましょう。

表装にも注意を払っておいてください。これがかの『大渡海』なわけです。

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「舟を編む」三浦しをん

玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか──。言葉への敬意、不完全な人間たちへの愛おしさを謳いあげる三浦しをんの最新長編小説。 20...

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No title

今回も読みやすくてあっという間に引き込まれました。
真っ直ぐな小説でユーモアもあり、とてもたのしく読めました。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
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Author:幽玄

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