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歪笑小説 東野圭吾 感想とレビュー 出版業界の裏事情が満載

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先ず帯にあるキャッチコピー「だから作家になんて、なるもんじゃない!」ということば。初めは何を言っているのかよくわからなかったのですが、小説を読み終えてから再び見ると納得ができました。歪笑とかいてわいしょう。その名の通り歪んだ笑いです。この本のすばらしいところは初めから笑いを持ってこないというところだと感じました。
初めのうちの笑いはどちらかというと爽やかなもの。例えば伝説の編集長と呼ばれる獅子取という男の起こす行動が面白いというものであります。とにかく人がプライドや恥の感情に抑えられて出来ないようなことを簡単にしてみせる。仕事のためなら土下座なんて朝飯前、むしろ得意技とさえ部下に思われているような無茶苦茶な男が笑いを誘うわけです。
他にネーミングセンスがすばらしいですね。初めのうちは作家の只野六郎という人物や、俳優の木林拓成、女優の松崎羅々子、直本賞、等々愉快なもじりがあっさりした笑いを運んできてくれます。
一つ一つの話はそれだけで完結するようにも出来ていて、一種短編のように読むことも出来るのですが、全てが絶妙につながっていて、最初の断片的なショートストーリーが見事に融合していく感覚は軽い興奮を感じました。
一番味があってよかったなと感じたのが『ミステリ特集』というタイトルがついた編。内容はミステリ特集を組むために二人の作家がミステリを書く部分に焦点を当てたお話なのですが、二人ともミステリには初の試みで、「日本ミステリ作家協会」の出版する「ミステリ小説の書き方」というものに奔走させられるというものです。何が面白いかというと最後の最後に脚注として、、「日本ミステリ作家協会」や「ミステリ小説の書き方」は実在の日本推理作家協会とは無関係ですと断った上で、日本推理作家協会編著の「ミステリーの書き方」(幻冬舎)は、ミステリ作家志望の方が読めば本当に為になる本ですと書かれていることであります。
後半になるにつれてその笑いというものが見事に歪んできます。苦笑いというものに質を変えてくるのです。
編集者から見た出版業界の話や、小説家から見た業界の話ですから最後のページにはそれまでに物語中に出てきた作品が本の紹介として出されています。好評発売中とも書いてありますが、是非東野さんには冗談半分でいいですから書いていただきたいと思います。とっても魅力的な本が集まっていますよ。
『撃鉄のポエム-高層マンションのペントハウスばかりが狙われる狙撃事件が発生。一匹狼の刑事・郷島巌雄はマフィアに接触し、世界的犯罪組織が裏にいることを突き止める。米軍の基地から戦闘ヘリを盗み出した郷島は、単身で秘密組織に乗り込む。第十二回小説灸英新人賞受賞作。』
このようにして、狼の一人旅、銃弾と薔薇に聞いてくれ、虚無僧探偵ゾフィー、煉瓦街諜報戦術キムコ、魔境隠密力士土俵入り、深海魚の皮膚呼吸、殺意の蛸足配線、まったり殺して、こってり殺して、御破算家族、納涼茶番劇、腰振り爺さん一本釣り、ぷりぷり婆さん・痛快厚化粧、怪盗泥棒仮面、筆の道、の作品があります。
なかなか出版業界のことを面白おかしく吐露した作品というのは少ない気がします。読んでいてとても新鮮でしたし、苦々しい濃い笑いが後からやってくるという体験も出来ました。
小説が苦手という人にも自信をもって勧められる本です。

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「歪笑小説」東野圭吾

新人編集者が目の当たりにした、常識破りのあの手この手を連発する伝説の編集者。自作のドラマ化話に舞い上がり、美人担当者に恋心を抱く、全く売れない若手作家。出版社のゴルフコ...

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