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映画『ラフマニノフ ある愛の調べ』 感想とレビュー ラフマニノフという男の一生



稀に見る芸術のための映画ですね。昨年はこの芸術のための芸術としてルキノ・ヴィスコンティ監督の映画『ベニスに死す』が最も優れているとして記事も書きました。今回はどちらかというと美術よりというよりかは音楽よりです。
映画はピアニストにして作曲家セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフの半生を綴った伝記物語。もちろん映画の最後にも芸術のために脚色し、必ずしも史実通りではないとしています。
1873年から1943年という激動の時代を生きた彼を描いた静かな映画ですが、非常に感動的でした。五六十代で世界を回ってツワーをしているところから映画は始まりますが、これは過去を回想していくタイプの構成になっていまして、若い頃、20代、40代とおよそ3つの時間の層が展開していくのです。
こういうとどうも簡単になってしまってラフマニノフに対して非常に失礼だと感じるのですが、彼もまた人一倍苦労多い人生だったのです。夏目漱石しかり、石川啄木しかり、どうしてこう偉大な人間には苦労が多く付きまとうのでしょうか。ラフマニノフも映画でも史実でも、大きな挫折をしています。結局それが原因となって前途有望だった才気溢れる少年から一転、神経衰弱で作曲ができなくなってしまいます。この映画はもちろんラフマニノフの半生を語る映画としての側面もありますが、同時にそのラフマニノフの精神的な面を描いた深いものにもなっていると感じます。過去の出来事を一つ一つ見ることによって、かれの精神面がどのように変化してきたのか、また様々な出来事がどのように作用してきたのか、それを見ている私たちでもわかるようになっているわけです。
最後の最後まで神経質で頑固で、娘や妻に当たり散らしますが、意識が朦朧とするなか町で見かけた彼が生涯愛し続けた花にめぐりあい、カタルシスに至るという感動で締めくくられるわけです。
またこの映画は彼にまつわる三人の女性の視点からも見て取れます。初めて恋をした年上で金持ちで高飛車な女性。二人目は教師と生徒という禁断の愛、情熱的な革命家の女性。そして三人目は後の妻となる従妹。全てを知った上でそれでもなお彼を支え続けるというある愛を描いた物語です。
十月革命が成就しボリシェヴィキが政権を掌握したロシア、世界史でも勉強したこの上ない時代の過渡期に巻き込まれた芸術家がひどい神経病に悩まされながらも生き抜くという映画はそれだけで私に生きる力を与えてくれます。特にエフゲニー・ツィガノフの演技は迫真です。そこまで話題にならなかったせいでしょうか、WIKIにもないのですが、その演技力はすばらしいものです。もちろん本物のラフマニノフの映像を見たことがないのでなんとも言いがたいのですが、それでもラフマニノフの表情が生き生きと伝わってきました。


何故彼が天才なのか、この14分を聞いただけで感動できるからだと思います。

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