『号泣する準備はできていた』 江國 香織 への試論 テクスト分析から

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テクスト分析を行っているのでその研究成果、大したものではありませんが、ここに乗せておきます。先ずは江國さんの号泣する準備はできていたから。
以前感想として同じ本に対して記事を書いていますが、これは感想とはまったくことなるもので私自身こんなに違ったものになるとはおもいませんでした。

一見話が飛んだりして煩雑なテクストであるが、実は隆志となつきの話が交互に描かれている。また他に固有名がなつきと文乃と隆志しか出てこないことも特徴的である。これらのことからテクストが意図的に構成されていることがわかる。文乃に対して「ちゃんと考えなよ」と説教する堅実な妹に軽い反発を持っているが、これは他の男と一緒になり出奔した母を自分の心のままに生きた美しい人として憧れていることから理由がわかる。さらに「一切の策を弄さずに愛し合いたかった」という部分からも見られるように文乃は反ロマンチックラブイデオロギーである。
しかし、なつきにとって厳格な母である妹のようにはなるまいとする文乃だが、彼女自身と隆志の関係は出奔した母親の生き方とは少し異なる。文乃は隆志との体を重ねること、貪るような性的快楽の追求を彼に求めているが、テクストの初めに「~なの」とあるように隆志は文乃に対して甘えている。文乃はそれに対し仕方なく息子を甘やかすような母を演じている。これを擬似的な母子関係と見て取ると、このテクストは母をめぐる物語、娘をめぐる物語として読める。

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