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ペンギン・ハイウェイ  感想とレビュー もりみーの新境地とは お姉さんはすくわれたのか

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森見氏のまったく新しい小説です。なんと今回は研究好きで至極まじめな少年が主人公。歯科医院のお姉さんや研究仲間の友人、よき父や母、まだまだ子供な妹と平和に暮らしていたのだが、突如街にペンギンが出現するという事態が起こる。
ペンギンのことについて研究を続けていると、なんとお姉さんがペンギンを出現させることが判明した。ビを空中に投げるとたちまちペンギンへと変身した。しかしお姉さんも何故自分がペンギンを出せるのかわからないらしく研究してくれと少年に依頼する。
少年の友人はペンギンを捕まえていたと少年に打ち明ける。しかしなんとそのペンギンは捕まえたときから飲まず食わずで三週間、しかし依然として元気のままであるという。少年はこれをペンギンエネルギーだとした。
あるときクラスメイトのハマモトさんという少女から一緒に研究しないかという誘いがある。しかし、その研究とはなんと草原に浮かび続けている大きな水の球体なのであった。拡大と縮小をある期間をもって続ける球体。具合が悪くなったりするお姉さん。ペンギンについて、なかなか研究の成果を出せないであせる少年に父は、もしかしたらいくつかの問題の根源は一つかもしれないと教えてくれる。
やっと研究が終局に近づいてきたと思ったら、なんとハマモトさんのことが好きで、そのハマモトさんと仲良くしている少年が大嫌いなガキ大将のスズキ君が新種の生物(実はお姉さんが出した)を捕まえて公にしてしまったために研究者たちが押し寄せる。
ちょうどそのころ水の球体とお姉さんとの関係が判明し、このままではお姉さんがピンチに!
少年の視点から綴られたこの小説、お姉さんに対する淡い恋心がなんとももどっかしくてなおかつ爽快です。小さいころって年上のお姉さんに憧れることってありますよね。私は今でも年上のお姉さんは大好きですが、今の私が恋心を抱いたとしてもドス黒くってなんだかばっちいだけですよね。この小説はそんな爽やかで美しい恋を彷彿させてくれました。
少年への回帰、ノスタルジーというのでしょうか過去に置いてきてしまった大切なもの、今ではなんだったか思い出せない
けれど、そんなものをもう一度思い出させてくれるような小説です。これは森見氏の本を読んだことがなくても十分楽しめます。物語中しばしば少年の大好きなおっぱいについての記載がありますが、まあそれはこの少年に免じて多めに見てあげましょう。
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宵山万華鏡  感想とレビュー まるで狐につままれたよう どうか宵山にはお気をつけください

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京都の代表的なお祭りに宵山があります。山鉾巡行の前日、16日が「宵山」と呼ばれるそうです。
この祭りなんと何万という人が京都の町中にあふれごった返しもいいところ。中には一方通行になる道も出るそうで、迷子続出の大お祭り。そんなお祭り宵山を舞台としたのがこの小説宵山万華鏡。
森見氏といえば京都の不思議を書くことも得意としています。きつねのはなし、有頂天家族に続く京都ミステリーの傑作だと思います。
この小説、表紙もかわいいし万華鏡なんてなまえが付いているし、なんだか楽しそう!と思っている女性諸君(男性諸君には興味がない)、ちっとも楽しくない。面白いには面白いが、むしろ怖いと表現するほうが適切でしょう。
一見華やかに見えるお祭りでも、実はそのすぐ裏には人間の力を遥かに超えた現象が起こっていたりする。そんな怖さを味わえますよ。
万華鏡って本当に綺麗ですよね。いつ見ても美しいと感じられるし、一旦見始めるとなかなか目を離すことができなくなる。でもよく考えてみたら、この光景は自分にしか見れないし、そしてもう二度と同じ光景を見ることができないというこわさも実はあるのですよね。
人々心寄せられる祗園祭宵山、しかしそこはもしかしたら万華鏡のような世界なのかも知れません。
宵山姉妹では幼い姉妹がバレエ教室の帰りに、宵山をちょっと見てみようというところから物語りは始まります。絶対に手を離してはいけないと思ってはいたものの、怖い坊さんにばったり出くわしたときに手を離してしまう。人々でごちゃごちゃになっている中、姉妹は再び出会えるのか。そして楽しそうに遊ぶ金魚のような赤いひらひら浴衣を着て街をちらちら動き回っている少女たちの存在は。
宵山金魚ではある大学生が京都にいる友人と会う約束から始まります。しかしひょんなことから神聖な領域に立ち入ってしまうその大学生は、なんとそこで祭りの神である宵山様の気に障るような粗相をしてしまう。たちまちにして取り囲まれる大学生、そして目隠しをされた上連れて行かれた奇怪な場所では、宵山様に仕えるという骨董屋、妖艶な女性、白塗りの大坊主、そして最後に待ち受けるは巨大な金魚。果たして大学生の運命はいかに。
宵山劇場ではある大学生が友人にいたずらをしようというところから始まります。なんでもお祭りの神様である宵山様というのをでっち上げ、友人を驚かすために大掛かりなセットを準備。宵山様には巨大な金魚を、その使いのものたちには、ひょろひょろした骨董屋、着物を着た女性、白塗りにした大坊主を配役、なかなか計画が上手く進まないなか、果たして友人を見事驚かすことはできるのか。
宵山回廊、主人公は千鶴という女性。かつて宵山祭りでいとこの女の子と一緒だったのが離れ離れになってしまい、結局今でもその子は見つかっていないという恐ろしい過去を持つ。いよいよその宵山が始まり、用事でいとこの父に当たる叔父の家を訪ねる千鶴。叔父の様子が変である。なんと叔父は自分の娘を、先日の宵山で見つけたというのである。恐怖を覚えた千鶴だが、その彼女もまた宵山の万華鏡の世界に取り込まれていく。
宵山迷宮、主人公はバレエ教室のしたにある骨董屋の主人。父のなぞの死から一年。いよいよ宵山が始まる。そんななか画伯であり、かつて娘を宵山で失った常連がやってきて変なことを言う。そしてそれと前後してある人物から家にある水晶玉をくれないかという連絡がある。そこから彼は宵山の万華鏡に入りこんでしまう。いつおきても同じ日の朝の連続。何日起きても宵山の始まり。何日おきても。その世界から主人公は抜け出すことができるのか。そして父の死の真相は。
宵山万華鏡、宵山姉妹では妹の視点で描かれていた物語が今度は姉の視点から。妹が手を離してどっかに行ってしまったのを探すのだが。白塗りの大坊主や着物をきた妖艶な女性。そして金魚のような真っ赤でひらひらの着物を着た宵山様と人から言われる少女との出会い。宵山様は彼女にあるものを口にするよう何度も誘う。何回も断る姉。恐怖を感じ、その場から逃げ出し妹を追う。見つけたはいいもののすいすい人の間を抜けていってしまう赤い着物を着た少女たちと一緒にドンドン進んでしまい、なかなか追いつけない。果たして姉妹は再会できるのか。
ひとつの大きな祭り宵山を多角的視点で描かれていて非常に面白い作品だと思います。森見氏の超絶技巧文もなければへんな妄想もない。いたって平凡な小説なのですが、なんとも言いがたい逃れがたい力に引きずり込まれるような感覚、もしかしたらもう抜け出せないかも知れないという恐怖がじわじわ湧き上がってきますよ。秋の夜長に読むには打ってつけの本ですが、皆様どうか宵山の世界のなかから抜け出せないようなことにならないでくださいね・・。

有頂天家族 森見登美彦 感想とレビュー 家族愛を読み解く 叡山電車その正体とは

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京都の不思議、神秘といったものは実に興味深いですね。森見氏はかつてきつねのはなしをだしています。そしてきつねといったら今度は狸ですよ。今回の主人公はみんな狸。
主人公は人間に化けるのが得意な狸。かわいい女子高生になったり、森見先生、延いては成人男子諸君がすきな胸を膨らましたりすることも自由自在。物語は偏屈と頑固を権化にしたような天狗の師匠や、年に一度狸なべをして狸を食ってしまう金曜クラブの弁天という女性がでてきて進展します。
なんとこの弁天、師匠である天狗のかつての弟子。つまり主人公の狸にとっては姉弟子でもあります。しかしなんとあろうことか物語りの終盤には主人公の父である狸(この偉大な父は最初から食べられてしまっている)を食べたのが金曜クラブであったことが判明。つまり父は姉弟子の胃袋に納まっていたということになるのです。なんと衝撃的な。
優しい母、そしてこの伝統ある狸の家を守っていく長男、あるときから井戸の中に隠れて二度と出てこようとしない次男、そして主人公である三男にふりかかる災難。師匠や金曜クラブとの関係や偉大なる父を恨み続けてきた叔父の策謀。これらが深く入り混じって襲い掛かる。季節はもう金曜クラブの狸鍋が行われるころあい。次に鍋になって金曜クラブの胃袋に入ってしまう狸は誰なのか。叔父の仕掛ける秘境極まりない手によってピンチに立たされる兄弟。終局に近づくにしたがってあきらかになってくる父の死の真相。
京都を舞台とした傑作ファンタジー。これを読まずして森見登美彦氏はかたれない、と勝手に思っている管理人。

竹林と美女 森見登美彦 感想とレビュー 竹林は麗しの乙女と交換可能なのか

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ついに京都近辺のことについて描くことがなくなってしまったのか森見先生といいたくなるような、そんな小説です。とにかく話が進まない、ストーリーの展開もなにもあったものでもなくて、ついには美女と竹林は等価であるというようなことを言い出すしまい。
主人公の森見氏は友人や編集の人たちとともに竹林に行きそこで竹を只管切っていくというだけ。小説としては面白くないですよ。では一体何が面白いのか。それは癖になる森見ワールドが炸裂しているからですね。なぜ多忙な執筆活動を支えてくれたのが美女ではなくて竹林だったのかなどをはじめとして「虚実いりまぜて、タケノコと一緒に煮込んだ、人気文士の随筆集」とあるように、随筆集なのですね。
だから森見先生が話しかけてくれているというより一人で勝手に喋っているような感覚で、彼の世界にのめりこんでいってしまう。帯にある「美女にあったら伝えてくれ。俺は嫁を大事にする男だと。」とずいぶん仰山な文章は友人が竹林にきたときに度々口にする台詞。ただそれだけなのです。
へんちくりんな、偏屈な随筆集ですがその分森見ワールドが炸裂していてファンには大変面白い。ファンでない人には絶対面白くない。そんな随筆も最後には森見先生の壮大な妄想で終わります。何でも石油王や鉄鋼王のように竹林王になる妄想だとか。皆さんも森見ファンになってからこの小説を読むことをお勧めします。罷り間違ってもこれからはいってはいけませんぞ。

恋文の技術 森見登美彦 感想とレビュー この電子メールの時代だからこそ必要となることとは

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最初にこの小説を目にしたときはなんとあの森見氏が恋文の技術を伝授してくださるのかと思いましたよ。でま実はちょっと内容が違うのですね。主人公は我々と同じく、恋文には特別な技術があってもしそれを発見、開発すれば世の中の女性もたちまち文通によって自分の恋人にできるのではないかというところから恋文の技術について研究を始めます。森見氏の小説に見られるのはその独特な文体もさながら、彼が毎回といってよいほどいろいろなかたちの小説に挑戦しようという心意気ですね。
今回は題名も不思議ですが内容、文体も不思議。書簡体小説というらしいですね(帯びに書いてある)。こんな形式の小説を読んだことがありませんでしたので少々狼狽いたしましたが内容は実に面白い。
物語は全て主人公とその手紙の相手とのやり取りだけで進められます。先ずは意中の人との交際のために只管外堀を埋め続ける友人への手紙。二人目は自分の先輩である非常に性格のよろしくない厄介なお姉さまへの手紙。これはもしかしたら羽貫さんではと思うのですがね。三人目はみどころのある少年。おそらくは夜は短し歩けよ乙女の古本市ででてきた少年ではないでしょうか。
四人目はなんと偏屈作家森見先生へとあります。ただこの小説を書いているのも森見先生なのですからなんと自分と文通するという感覚。その後もおっぱいに目のない友人やら、心優しき妹、外堀を埋める友人の恋人伊吹夏子さんとの手紙のやりとりなどが続き、最後は大文字山への招待状で終わります。
様々な人との手紙のやり取りでだんだんと明かされていく真相。手紙のやりとりによって展開してゆくストーリー。まったく先が読めない状態で、これは面白いと感じました。
大文字山への招待では主人公がいままでの文通相手全員に手紙をだす形式でこれが読めばわかるのですがすごい発想。
最近では携帯電話の異常な普及により手紙を書くことがめっきり減ってしまいました。年賀状もほとんどはメールを回すだけ。手紙で来たとしても、全部パソコンのプリントみたいなものもかなり多いですね。私は自分が受け取りたくないものは出さないように心がけているので、全て名前、住所、文面を手書きで出します。そのためにはもちろん何日も前から事前に準備しなくてはいけないのですが、手書きでしか伝わらないものってあると思うのです。その人の文字の形、濃さ、大きさ、こういったものがあるからこそ手紙って暖かなものなんですよね。恋文も同じ。どんな気持ちで書かれたかわからないメールでの告白よりも、頑張って頑張って手書きで思いを綴ってあるほうが受け取りたいですよね。そんなことを伝えてくれるよい小説だと思います。文庫化されたのかな?皆さんも手にとって読んでみることをお勧めします。
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